ロシア国立交響楽団 チャイコフスキーの4,5,6番2015/07/19 16:41

昨日(7月18日)は芸術劇場で掲題のオケを聞いてきました。台風の後の何となく安定しない天気で、時折ザーッと落ちてくる空模様。うちからなるべく地下道を伝うようにしてホールに到着。入り口に前売りで完売、当日券は出ないという掲示。「へぇ」なんて思いながら、暑いんで開演前にビールを一杯。

指揮者はポリャンスキーというこのオケの常任。いつまであるかわかりませんが、この演奏会のチラシはこちら。ガスプロムなんかが後援していますねぇ。「ムラヴィンスキー、スヴェトラーノフ以来の爆演型指揮者、ヴァレリー・ポリャンスキー初登場!」という謳い文句がなんとも胡散臭いなぁと思いつつもチケットを買ったんですが、まあ楽しめました。

まずロシア国立交響楽団という名称から。こちらのページに、最近のロシアオーケストラ事情にかんする比較的わかりやすいリストが作成されています。「ロシア国立」というとどうしてもスヴェトラーノフが振っていた「ソヴィエト国立」を思い浮かべてしまうんですが、どうも違うらしい。あのオケは現在では「スヴェトラーノフ記念ロシア国立」。プレトニョフが始めた「ロシア・ナショナル」というのもありますが、「ロシア国立」とは別。スピヴァコフのオケも「ロシア・ナショナル」ですが、これも「ロシア国立」とは別。今回来日の「ロシア国立」というのは、キリル文字は読めないからアルファベットの表記でState Symphony Capella of Russiaというものらしい。これは「モスクワ放送オペラシンフォニー・オーケストラ」というのが元々の名称らしいんだが、これはまた有名なフェドセーエフが振っている「モスクワ放送シンフォニー・オーケストラ」とは別物。フェドセーエフの所は現在では「モスクワ・チャイコフスキー記念」とかいうらしい。

「モスクワ放送オペラシンフォニー・オーケストラ」というやつがその後、ロジェストヴェンスキーが振って「文化省オケ」という名前で何度か来日公演をやったんですが、そのなれの果てが今回の「ロシア国立」というオケなんだそうだ。面倒くせぇなあ。ロジェストヴェンスキーとロストロポーヴィチは西側に渡って金の亡者になったというのは有名な話ですが、その時に放り投げていっちゃったってことかな。

ロシアはもともとものすごく質のいい音楽家をわんさかと輩出していましたが、ロシアのオケは90年代に団員を猛烈に買い叩かれて(というか、よりギャラのいい西側へと楽員が流出して)、来日公演のたびに質が落ちていくのが何とも悲しかった。ムラヴィンスキーが倒れてその代役でヤンソンスが振ったレニングラード・フィルが最後の輝きだったと思います。(確か5000円ぐらい現金で払い戻しがあった)。今回の公演のチラシの下品な謳い文句のような「爆演」ではなくて、真剣で切り結ぶような、どこをとっても切れ味鋭い音楽。クラシック音楽の世界の尋常ならざる崇高な世界を見せてくれていました。

あれから20数年してどんなオケかもわからずに、うちの近くだからたまたまチケットを買っちまったわけですが、演奏はなかなか楽しめました。4番冒頭、ホルンがやけにレガートでのんびりと始まったなぁなんて思っていたら、結構テンポをいじる指揮者で、クライマックスに向けて追い込んでいく音楽はなかなか楽しめました。5番冒頭のクラも同様だし、第2楽章のホルンも音は美しいんだけど完全に緩みきったテンポ。全体に「爆演」というには迫力不足。1st.Vn.が15人、ベースが7人とやや小さめな編成。下手奥にベースが10本並んでゴシゴシ擦っていたレニングラードの迫力には遠く及びませんけど、それでも一生懸命さは伝わってきました。ただし、ロシアのオケの味、音色、粘り気、底知れない深さ、厚さ、熱さ、そういったものは全く感じられませんでした。言ってみれば普通の西側のオケが頑張って弾いてるなぁってところ。指揮者の意図なんだと思いますが、ロシアのフレーバーをことごとく消そうとしているみたい。4番のオーボエ、5番のクラリネット、ホルン、ファゴットのように管楽器にはまだ昔の色がちょこっと残っていましたが、全体的には西ヨーロッパのモダン・オケを目指して頑張ってますという音楽でした。別の指揮者だったらあるいはという気がしないでもない。指揮者を替えて聞いてみたいですね。



____________________________

台風11号は東京では大した影響はなかったんですが、雨がトータルで100ミリ近く降りました。



30℃を越す日が続いていますが、雨のお陰でまだ芝生が伸びています。


そこで9日振りに芝刈り





手前の麦わら色に枯れたスポットは、ニャンコらのおしっこの痕。

ここらへんはちょっとブラウンパッチが出ています。



かなりさっぱりしました。刈り取り量は45リットルのゴミ袋に一杯。7月中にもう一度か二度芝刈りが必要かなぁ? 今後の天候次第です。

アンジェラの2番花


クリムゾン・グローリー

シャルル・ドゴール

ドゥフトゴルト

フレグラント・アプリコット

マルコ・ポーロ

オールド・ブラッシュがまた咲いています。

コメント

_ おこちゃん ― 2015/07/20 11:46

デデさん、こんにちは。
今日も天気予報みましたよ。そちらは暑いみたいですね。
ほほほほほ。やはりそうでしたか。
ロシアのみなさん、日本の暑さに参っているように見えませんでした?
あの日、盛岡もとても暑くて、ホント申し訳なかったよ~。

解説してもらって、なるほどと思うことばかり。
確かに指揮者を変えたらどうなるのかなと思います(笑)

なんというか、私の感想を聞いてください。
音楽はともかく、団員の態度が気に入らなかった。
もうちょっと、シャキッとできないのでしょうかね。
せめてスマイル…。
日本の市役所の窓口の人だって、もう少し愛想いいよね。

_ デデ ― 2015/07/20 22:48

こんにちは。ロシアの音楽家はたくましいですよ。とにかく金を稼ぐのが目当てで、友好だなんだなんてことはまるで眼中にありません。国際的にも評価が高いペテルブルグの楽団は、金曜の夜東京でオペラをやって、土曜の昼に福岡でオーケストラのコンサート。東京にとんぼ返りでその日の夜に東京でオペラ。翌日曜にはオペラを昼夜公演、なんてスケジュールを平気でこなします。それでいていわゆる「爆演」というんでしょうか、ものすごい音を響かせます。

もう一つのペテルブルクのオケは年末年始日本にずっと張り付いていて、12月は第九とクリスマスコンサートで全国津々浦々を巡り、正月になるとニューイヤー・コンサートで日本中を駆け回ります。それも毎年。とにかくあのバイタリティーはすごいですよ。

さんさ踊り知ってますよ。もう20年かひょっとすると30年ぐらい前に盛岡の駅前で見ました。メインの会場じゃないし昼間だったから、ちょこっとリハーサルみたいなものだったのかもしれませんが、太鼓と軽快な踊りが楽しいですね。浴衣や帯の色が鮮やかでした。さんさ踊りの曲って、いわゆる民謡の「さんさ時雨」とは違うんですかねぇ。「さんさ時雨」はものすごく古い民謡だって言われてますが。

この時期フェザン地下の居酒屋でサンマのタタキってのを生まれて初めて食べました。いやあ、んまかったニャー。

その時は八幡平のロイヤルホテルに5泊ぐらい予約していたんですが、チェックインの時に、「申し訳ないんですが、ご予約と違ってスイートルームでよろしいでしょうか」とか丁重に言われてびっくりした記憶があります。後から東北五大祭りだかのツアーが入っちゃって、個人で予約していた人はスイートルームに移動ということになったらしい。まあ、安く泊まれたからいいんですが。でも、団体客がいつ来ていつ去ったのか全然気がつきませんでしが。多分数百人いたんだと思いますが、夜の11時過ぎにチェックインして、朝の7時頃には出発していったらしい。

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
ネコのクロかあちゃんとその娘のトムピリさん、二匹の関係は?
兄弟  親子  夫婦

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://dede.asablo.jp/blog/2015/07/19/7711939/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。