新国立劇場:バレエ『ジゼル』2013/02/21 15:46

昨日(2月20日)は二国でアダンの『ジゼル』を見てきました。ダイジェストのムービーはこちら。スタッフ&キャストはここ

やっぱりソワレのほうがお客さん多いですね。比べても 意味ないことですが、先日の『愛の妙薬』の平日マチネはずいぶん空席が目立ちましたけど、昨日のソワレは9割以上入っていたんじゃないでしょうか。

やけに有名なバレエなのに、実演を見るのは初めて。前評判もなかなか良かったので楽しみにしていたんですが、期待を裏切らないすばらしい舞台でした。ストーリーとしてはある意味盛り上がりに欠けるところがありますが、それはそれ、幻想的なバレエということで、質の異なる面白さがあったと思います。第一幕と第二幕でまったく雰囲気が変わってしまうのも見どころの一つなのかもしれません。

第一幕では村人・村娘の群舞が見どころ。ブドウの収穫祭ということで、賑やかな踊りが繰り広げられます。ストーリーの展開とは全く無関係ながら、米沢唯と福田圭吾が踊った村人のパ・ド・ドゥはなかなか見応えがありましが。が、二回転ジャンプっていうのは、スケート靴を履いていないと、人間の限界に近いのかなぁ。福田の回転不足がちょっと目立ちました。米沢もきれいなダンスですが、柔軟性がイマイチなのかな? 足を振り上げて、一回停止してから「どっこいしょ」って感じで頭の上まで上げる仕草が、ちょっと優雅さに欠けます。ワルツからポルカ・ガロップへの群舞はすばらしい高揚感がありました。そしてガロップの最後の一音が突然短調になって・・・

第二幕は狂乱のうちに死んだジゼルが精霊となって踊ります。結婚前に命を落とした若い娘たちの霊がウィリという精霊となって、夜ごと森の中で踊り狂うという一幕。12人ずつ左右二群のウィリの群舞はホントに一糸乱れず、幻想的なシーンを見せてくれました。群舞の最中に2回にわたって客席から盛大な拍手が湧き起こりました。12人の群舞にそれぞれ頭が一人ずついて、されにウィリ全体のリーダーであるミルタを加えて総勢27人のコール・ド・バレエですが、まあ美しかったこと。それぞれの頭やリーダーが毅然として群舞を統率する姿も、見ていて寒気を覚えるほどみごと。ここは若くして死んだ娘一人一人の怨念がこもった踊りですから、一切笑顔を見せない。全員が怒り狂ったように踊ります。そして、墓参りにやって来たハンスを取り囲んで、全員が猛烈なスピードで回転。あのハンスを踊り殺す場面は迫力がありました。

そしていよいよアルベルトの番。一幕の農民のパ・ド・ドゥとは違って、さすがにゲストダンサー。ワディム・ムンタギロフの体の線がきれいです。そして、二回転ジャンプですがこれもきれい。空中で二回完全に回っているように見えます。でも、よく見ていると、ジャンプの始めに45度ぐらい左に向いたところで踏み切っています。そうすると、着地したときにぴったり客席に向きます。ちょっとずるいのかもしれませんが、見た目は遙かにこちらの方がきれいです。ジゼルのダリア・クリメントヴァの踊りも優雅でかつ切れ味抜群。古典バレエの真骨頂。ほとんど重力を感じさせない踊りです。

音楽についてはあまり語りたくない。演奏がいいとか悪いとかいう以前に、音楽自体があまりにも下らないからです。よくもまあこんな作品が今まで残ってきたもんだと、びっくりするほどつまらない音楽。それを補って余りある、バレエの美しさこそがこの作品の魅力なんでしょう。

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