早春賦2013/02/22 17:12

昨日・今日とかなり寒い。最低気温がそれぞれ、−2.1℃、−2.0℃。




芝生は最低の状態。ところどころ新芽が出てはいるんですが。



ヒナソウ


レディ・ヒリンドンは花が終わった枝から切っています。


ザ・マッカートニー・ローズ


ホワイト・クリスマス

イエロー・シンプリシティ



今頃の寒さで思い出されるのがこの曲。

作詞の吉丸一昌という人は、 東京帝大の国文科出身で、東京音楽学校教授。というよりも、それ以前に第五高等学校で、夏目漱石、小泉八雲、湯原元一に習った人。東京府立第三中学の先生をしていた頃の教え子に、芥川龍之介がいたりといった時代の人。作曲をした中田章はもちろん中田喜直の父親で、やっぱり東京音楽学校教授。

この曲を聞くとすぐに思い出されるのがこれ。

モーツァルトの最後のピアノコンチェルトの最終楽章。モーツァルトが生前最後に人前で弾いたのがこの曲の初演だったそうです。1791年3月4日初演。そしてこの曲と対になっているのが次の童謡。ケッヘルも連番です。


有名な『春への憧れ』です。ざっと検索してみて、どうやら定訳っていうのはないみたい。いろんな歌詞がついています。ほぼ次のような内容。

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来て、大好きな五月よ、木々をまた緑にしてね
そしてぼくに見せて 小川のほとりに小さなスミレが咲くのを
なんてうれしいこと またスミレを見られるのなら
ああ、大好きな五月よ、とても嬉しいよ もう一度外に出られて!

もちろん冬の日だって楽しい遊びはあるよ
雪の中を駆け回れるし 夕暮れには家で遊べる
トランプの家を建てたり 目隠し遊びやゲームもできる
広い野原の上をそりで走りまわることだって

でも、小鳥たちが歌い ぼくたちが元気にはしゃいで
緑の草原の上ではね回れるなら それはまた違う話だ!
今、ぼくの竹馬は片隅に立てかけたままだ
だって、表の庭は泥んこで誰も出られないんだから

一番気がかりなのはロッテちゃんが悲しそうにしてること
あの子は心の底から花の咲く季節を待ちわびている
なぐさめようと思って遊びに誘ってもだめだ
あの子は椅子にすわったきり にわとりが卵を抱いてるみたいに

ああ、でも外がもっと暖かくなって緑で一杯になってくれさえすればいいんだ
来てよ、大好きな五月よ、ぼくたち子供は待ち焦がれている!
来て、そして何よりもまずスミレをたくさん咲かせてよ
それからたくさんのナイチンゲールときれいなカッコウをつれてきてよ
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春そのものというより、春への期待を歌っている歌です。そういった内容から考えても、『早春賦』との類似性に驚かされます。

ところで吉丸一昌という作詞家は、昨年の暮れに紹介した『故郷を離るる歌』の作者でもありました。

きれいな詞を書く人ですね。