大野和士指揮 都響 ハイドン『天地創造』2017/09/10 22:57

今日(9月10日)は、池袋の芸術劇場で都響を聞いてきました。大野和士の指揮でハイドンの大曲『天地創造』。あまりにも有名でしかも滅多に演奏されない曲です。実演で聞くのは・・・う〜ん、ひょっとしたら初めてかもしれない。

ソプラノ:林正子 テノール:吉田浩之 バリトン:ディートリヒ・ヘンシェル、それから合唱がスウェーデン放送の合唱団。合唱が目当ての人も多かったかもしれません。でもソリストもよかった。林正子はややビブラートがきつめなものの、よく通る声。テノールの吉田は艶やかな美声。バリトンのヘンシェルって人は最近よく日本に出没しているみたい。マイルドで甘いバリトンですが、響きの豊かな歌声でした。ちょっと往年のフィッシャー=ディースカウを思い出してしまった。

え〜と、3人の天使の語り手が聖書の冒頭「創世記」の記述にほぼ忠実なレチタティーヴォを語ったあと、アリアっぽい独唱やら、壮麗な合唱やらで、情景描写や創造主への感謝やらを歌い上げていくという構成なんですが、音楽的にも劇的にもなかなか難しい作品ですねぇ。英語の原作をドイツ語に訳したスヴィーテン男爵って奴は、確かモーツァルトのパトロンだった人物じゃなかったかな? 

ロンドンに旅行したハイドンがヘンデルの『メサイア』を聞いて感動したんだか、まあそんな具合で壮大な音楽を作ろうとしてしまったらしい。でもメサイアはイエスの生誕から復活に至るまあ一応波瀾万丈の物語があるんだけど、創世記は「神は光あれと言った。すると光があった」みたいな話で、物語性がないんですよねぇ。こんな感じで草木を作り、動物を作り、季節やら太陽の巡りやらを作って、7日目を休みにしたっていうお馴染みの話ですが、その一つ一つの成果を褒め称えて荘重に歌い上げても今ひとつ感興には乏しい。それは一つには現代の人類がダーウィンを知ってしまっているから、つまりアメリカの一部保守的な人々を除いては『天地創造』初演から60年後に発表された『オリジン』を否定してまで、神による天地創造を賛美するマンタリテを持ち合わせていないということに他ならないでしょう。

神は自分を賛美するための存在として一連の創造作業の最後に人間を作ったわけですが、第3部の楽園の部分に至っては、神への賛美に続いてアダムとエヴァの愛の語らいに乗じて、男性優位社会のプロトタイプが宣言されます。

アダム:私に従うがよい、我が人生の伴侶よ
エヴァ:おお、あなた!
    あなたのために私が作られた。
    私の傘、私の盾、私の全てであるあなた!
    あなたの意思は私にとっては法律と同じ

アメリカの「核の傘」とかいう珍奇な論理を思い出しちまいますな。

この日はオックスフォード版とかいう、かなり大がかりな譜面を使っていたそうなんですが、確かに木管も金管も派手にならしていました。バストロンボーンの一吹きは強烈でした。メサイアのアーメンコーラスに似たフーガの合唱を見事に歌い上げていた合唱団もみごと。それに絡んで、3人のソリストも細かいメリスマをきっちりと聞かせてくれました。ただモダンのオケ、この指揮者で、またもう一度聞きたいってほどの曲ではなかった。



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今日の音楽会はマチネだったんで、午前中に庭に水を撒きました。

本日の最高気温30.8℃。9月になって真夏日は辛いです。

西側の花壇

フレグラント・アプリコット。剪定し忘れた枝に咲いたみたいです。

マダム・アルフレッド・カリエール

赤いのはパレード。



つるバラのスペクトラと、下はオレンジ・マザーズデイ

アンジェラ。バラの赤い新芽が出てきました。

バラの新芽。このくらい切り口にぴったり出てくると、してやったりって感じ。

オレンジ色のサハラ

モミジとサルスベリ。今日もピーカンです。


スペクトラ