桑形亜樹子チェンバロリサイタル&小石川散歩2015/04/23 18:10

昨日は茗荷谷のラリールという小さなホールで桑形亜樹子のチェンバロを聞いてきました。2/26に続いてこのホールでは2回目。「対位法〜宇宙の摂理」という全4回シリーズの2回目で、この日は「イングランドの黄金」というタイトル。いわゆるバージナル楽派と呼ばれるバードとブル、それにバッハを加えたプログラム。



イギリスの音楽には全く疎いので、細かく説明したりはできないんですが、『フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック』など視覚的に譜面を眺めていると、16分音符や32分音符で細かく装飾を書き込んであるのが特徴的。あんまり対位法的に絡まった音楽というイメージでもないんだけど、よくよく聴いてみれば、ダンス・ミュージックでもやはり対位法的に書かれているんですねぇ。踊りの音楽の場合、3声や4声でがっちりと書かれているというよりは、文字通りのカウンター・ポイントで響きとしては和声の連なりのように聞こえている中、1声部だけメリスマ的に分割して、細かな音符が独自な動きをしているようなところが特徴的なのかなぁ。

前半は「パヴァーンとガリアード」それにアルメイン(アルマンド)といった舞曲が演奏されました。メロディーを知っているのはバードの「涙のパヴァーン」ぐらいだったですが、どれも何となく懐かしいような、それでいて技巧的な聴き応えもある音楽でした。変奏曲のスタイルと言っても、各変奏がリズムパターンや装飾法などで統一されているってわけでもなく、かなり気ままに流れていく感じがしました。ブルの「スペインのパヴァーン」は壁ドンの、いやカベソンのナントカと同じメロディーだとか言われても困ってしまいますが、まあ当時有名な曲だったのかな。前半の最後はバッハのフーガの技法から第3番。

後半は宗教曲。イン・ノミネ、ミゼレーレ、サルヴェ・レジーナといったお馴染みの(?)曲が並びますが、ブルのサルヴェ・レジーナだったかな、偶数拍子と3連符が絡んでリズム的に面白い曲がありました。対位法的な書法にリズムの変化がつくと聞いていて面白い。後半のバッハはコントラプンクトゥスの4番。最後にブルのウト・レ・ミ・ファ・ソ・ラ。さほど長い曲じゃないんですが、12の調を全部巡っていく転調の技法はバッハもびっくりってことかな? 最後に拍子がちょっと変化して、ドレミファソラ・ラソファミレドって具合に、下降音型も飛び出してきて、ものすごく聴き応えのある曲でした。

最後に2月のリサイタルでもアンコールで弾かれたブル博士の「お休みなさい」が演奏されました。


実は音楽会の前にちょっと早出して小石川近辺を散歩しました。
文京区のスポーツセンターの脇を北側に下っていくと、鬱蒼とした森と池(水たまり)があります。ここは水戸光圀の弟、松平頼元の屋敷だった所。ツツジが咲いていました。


池の畔にはシャガ(Iris Japonica)の群落。

アイリスに似ていますねぇ。かなり昔に中国から渡来した帰化植物。三倍体で種ができない植物なので、人為的に株分けして植えないと広まらないんだそうです。そのため日本中のシャガは同じ遺伝子を持っていると言われています。つまり個体差がなくて、どこでも全く同じ花が咲くってことかな。

千川通りを渡ると、小石川植物園の西側の門。江戸時代に小石川養生所があったところです。千川通りと言っても、練馬の千川通りとは縁もゆかりもなくて、文京区のこのあたりだけの通称。

植物園の西側には神社。これで「ひかわじんじゃ」と読みます。もともとごく普通に「氷川神社」と書いていたものを、大正時代の神主が字を変えたんだそうだ。

神社の裏手。急な坂です。買い物帰りのお母さんが自転車を押して登ってきました。

千川通りまで下ってきたところが氷川神社の下なんで、氷川下と呼ばれています。今は養老院になっているところにこんな石碑が。養生所同様、氷川下セツルメントもその歴史的役割を終えたということでしょう。

桜の名所、播磨坂。

2〜3年前にオープンしたステーキ屋。何でも開店した翌年あたりにミシュランの星がついたんだとか。入り口を入ると肉屋のショーケースがあり、奥がレストランになっています。よくありがちな、鉄板の前でサーベルダンスやフォークダンスを踊るパフォーマンス系のステーキハウスじゃありません。

播磨坂を下りきったところにあるこの建物、これな〜んだ?

答え:ラーメン屋

ラーメン屋の向かいが共同印刷。


後楽園の方まで下ると凸版印刷もあるし、このあたりは製本、断裁、中折りといった印刷下請けの零細企業が軒を連ねています。路上に積み上げてある製本前の印刷物を覗いてみると、やっぱり漫画本が多いですね。

共同印刷の前を千川通りから北に一本入ったところが植物園の正門。ここにはニュートンのリンゴの木(の子孫)なんかがあります。

そのすぐ近くでこんなオブジェを発見。スタジオ・ネコラ。こんなことをやっているところだそうです

音楽会の前にちょっと腹に入れておこうかと思って入ったそば屋がよかった。メニューにはうまそうなつまみがずらっと並んでいるんで、とりあえず桜エビのかき揚げとビール。それから空豆。結局ビールを2本飲んで、名物の「いんちきそば」というやつを食べました。白くて腰の強い更科系のそば。暖かいつけ汁には具がたくさん入っていて、これが絶品。というわけで、ほろ酔い気分で半分眠りながらチェンバロを堪能して参りましたとさ。

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