芝生2015/03/10 14:38

昨日雨を降らせた低気圧が北海道方面に移動して、今日は晴れたり曇ったりで、時折強い風が吹いています。気温は10℃ぐらいですが、暖かい春の日差しです。





芝生が少しずつ緑になっています。日当たりのいい日はレンガが温まるのか、ボーダーから緑になっていきます。




マーガレット


黄色のクロッカスはそろそろおしまい。






紫と白は満開です。





スナックのパパ



子供と2ショット




歴史上数奇な運命を辿った町ダンツィヒ(現ポーランド領のグダニスク)。この町の特産品がクラムバンブリという焼酎(ウォッカ)。


霊験あらたかなこの酒の効能について歌っているのが次の歌。18世紀の半ば頃に作られた歌詞です。歌っているのはもちろんエーリッヒ・クンツ。


そして、クラムバンブリに関してもう一つすぐに思い出されるのが、人間と犬の悲しい物語。エッシェンバッハというと、聖杯伝説『パルツィヴァール』の作者で、ヴァルトブルクの歌合戦に参加した詩人ヴォルフラムがまず思い浮かびますが、『クラムバンブリ』はマリー・フォン・エプナー=エッシェンバッハという19世紀から20世紀初頭を生きた女流作家の手になる短編です。

村の居酒屋で、どこかの領地の森番を首になった男がしこたま酔っ払ってました。鉄砲も狩袋も酒代に取られ、残っているのは足元に横たわる犬が一匹。居酒屋の主人もこの犬をかたに酒を飲ませるわけにはいきません。伯爵家の森番ホップさんは、猟犬として申し分のない立派な犬を一目見て気に入り、文無しの男に上等な酒を一瓶おごってやって話し込み、さらに1ダース買ってやり、犬を譲り受けます。

「この犬の名前はなんというんだい?」
「クラムバンブリですよ、旦那」

犬が抵抗するのでポップさんは家に連れ帰るのにも一苦労しました。おまけにこの犬を手なづけるのにたっぷり2ヶ月かかりました。逃げ出そうとするたびに鞭で叩いて半殺しの目に遭わせたり、ぎゅうぎゅう首輪を締め付けたりしました。

ポップさんの言うことを聞くようになってからは、それは役に立つ忠実な猟犬になりました。この犬がやって来てからというもの、夕食後犬を膝に乗せて二人で話し込む毎日。おかみさんもあきれるほど、ポップさんとクラムは仲良くなります。

2年ほどして、伯爵家の山林に山賊が出没するようになります。密猟をしたり、夜中にこっそり材木を切り出したりするのです。あるときポップさんとクラムバンブリが森の見回りをしていると、茂みの中でガサガサと音がして、クラムの元の飼い主が鉄砲で撃ったばかりのウサギを二匹ぶら下げて姿を現します。悪漢とポップさんの間で右往左往するクラムバンブリ。元の飼い主と今の飼い主が正反対の命令を下したら、犬はどう反応するのか。そして悲劇の結末。

ドイツでは何度も映画化されているお話。無名作家の有名作品で、日本でもあっちこっちの短編アンソロジーの類に収録されているようですが、初出はたぶん小山東一の訳で『赤い鳥』1935年9月号。ちなみに同年11月号に坪田譲治の『ビワの実』が発表されています。まあ、そんな時代。