プーランク 6重奏曲@調布文化会館たづくり ― 2025/06/27 18:50
今日は猛暑の中調布まで出かけてきました。金曜の午後1時スタートの音楽会。曲目はライヒャ(チェコ語でレイハ)の木管五重奏曲変ホ長調Op.88-2。全部で5曲だったかな(?)木管五重奏を作曲した人で、管楽器をやる人にとっては古典的な木管五重奏です。えーと演奏者は上野星矢という大阪音大准教授のフルート、オーボエは読響首席の荒木奏美、クラリネットは新日フィル元首席で芸大名誉教授の昔懐かしい山本正治、ホルンが群響の首席濱地宗、ファゴットが都響の首席長哲也。いわゆる穏やかで懐かしいハルモニームジークの王道をゆく演奏。続いてピアノの森下唯が加わってルーセルのディヴェルティスマン。1楽章の短い曲ですが、フランス管楽器の粋なエスプリの効いた音楽。この6人はフランス音楽の楽しさを存分に味あわせてくれました。
そしてメインはもちろんプーランクの6重奏。いやあ、これはねぇ、アンサンブル・ウィーン=ベルリンもレ・ヴァン・フランセも全く面白くなくて、唯一実演で心底感動したのはフランスのモラゲス木管5重奏団。ウィーンやベルリンの名手(?)をズラッと並べてもやっぱり音楽が平板なんですよね。まずホルンの音色が違う。ブルックナーやワーグナーを吹くゲルマンの深い森の中から湧き上がってくるようなウィンナホルンと、小粋なフランス近代音楽を演奏するフレンチホルンとはまるで別物。クラリネットもベーム式とアルバート式の音色は根本的に違う。レ・ヴァン・フランセもパユはベルリンフィルだったり、ポール・メイエも往年のランスロのような音色には及ばず、ホルンのヴラトコヴィチもインターナショナルな音色だし、オーボエのフランソワ・ルルーとバッソンのジルベール・オダンが懐かしいおフランスの音色をかろうじて保っているかな。そんな感じでフランスのグループと言いながらまるでアンサンブルになっていない。それに比べて、今日聞いた日本の凸凹したアンサンブルはお見事でした。縁の下の力持ちであり、すっとぼけた音色が命のファゴットのお兄さん。群響のホルンの人も歯切れのいいタンギングと、思い切りの良いアタックが冴え渡っておりました。フルートのセンセもなかなか。読響のオーボエ吹きも飄々とした音色で切れ味爽やか。で、ベテラン中のベテラン山本正治は、この6人の中では地味で俺が俺がって感じじゃなかったけど、しっとりとした味わいのクラを聞かせてくれました。ピアノの森下唯はなかなかの切れ者とみました。普通プーランクを弾くんならスタインウェイでしょうね。でもスポンサーの関係なのか、セミコンより一回り小さい感じのベーゼンを弾いていました。これがまあ、実にムジツィーレンしてますって音色で、出るところは出る、引くところは引く、でも存在感は抜群といったピアノでございました。
しかしプーランクの音楽はいいねぇ。20世紀に入ってからでもこれだけ美しいメロディーが書けるってのはすごい才能。無調とか12音なんかに逃避しなかった作曲家の中でもとりわけメロディーが美しい。モーツァルトに匹敵するほど豊かな発想力があった人です。20世紀の作曲家の中で、ショスタコーヴィチ、ラフマニノフ、プロコフィエフ、ある時期のストラヴィンスキー、それにもちろんプッチーニ、ここらへんが次世代の評価に値する音楽を書いた人々かな。
プーランクの6重奏曲から第1楽章。
* Francis Poulenc : Allegro vivace du Sextuor pour flûte, hautbois, clarinette, cor, basson et piano
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今日は最高気温33.3℃。夕方になって雨が降り出しました。
午前中はまずまずのお天気。
バラはちょっと寂しくなってきました。
桔梗
ラ・フランス
ヴィオリーナ
パパメイアン
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