2本のリコーダーによる トリオソナタの旅2013/06/17 20:42

それにしても日本代表はだらしないですニャー。このところ試合をするたびに弱くなっていく。うまくいっていた時の記憶がだんだん薄れていくんですねぇ。そしてチームが崩壊して、何をやったらいいのか、誰もわからなくなってくる。監督も何も指示できない。そこに「個が強くならなければいけない。チームワークなってものは、日本人なら誰でもわかっている」とかいう、自分勝手な、いや、個の強い方が現れたりして、ますますチームが混乱してきました。

一体どこまで崩れていくのか、実に面白い。なかなかの見物です。あろう事かマスコミまでジーコの時代を彷彿とさせるようなフォーメーション論争にうつつを抜かしています。曰く、「ワントップは誰それ・・・トップ下は・・・」。フォーメーションというのは、キックオフの瞬間の布陣でしかないってことは、誰でもわかったはずなのに。不毛ですねぇ。守備にしろ攻撃にしろ何をするのか決めごとが一切ないですから、まあ、選手は怖くて仕方ない。相手の気配がするとばば抜きのばばを掴んでしまったように、ボールを横にはたいて、さらに横に蹴って、三つ目は後ろ。相手のゴールがどんどん遠くなります。この後も怖くて怖くて戦えない、腰抜けの試合が続きます。戦術を選手に伝授できない監督はそろそろすっこんでもらった方がいいんじゃなかろうか。本大会まで1年しかないわけですからねえ。

恐怖の「横・横・後ろの法則」
監督と一緒に「ザックザックと墓穴を掘る響き」

昨日(6月16日)掲題の演奏会を聞いてきました。場所は上野の石橋メモリアル。リコーダーの山岡重治、太田光子、それにガンバの平尾雅子、チェンバロの桒形亜樹子の面々。最近ノリノリのメンバーじゃありませんか。こちらは戦術がはっきり決まっている。聞かせどころ見せ所は太田光子ですよ。いつもニコニコのミツコチャンの笑顔を見ただけで、お客さんは満足しちゃいます。

それは大袈裟としても、山岡のストレートで伸びやかな笛の響きと、その響きを継承しつつ、さらに音楽の楽しさを伝えてくれる太田の笛の生き生きとした演奏は格別。この日は全てリコーダー2本と通奏低音のためのいわゆるトリオソナタばかりを並べて聞かせてくれました。

まず、初期バロックのカステッロのソナタ、それにフォンターナのソナタ。どちらも初期バロックのオペラのレチタティーヴォ、アリア、レチタティーヴォ・・・と音楽が自然な生命力を得て流れ出すように、単一楽章のなかに緩急を織り交ぜ劇的に展開していくソナタです。初期バロックのこういう形式って面白いですねぇ。切れ目があるようでないようで、語っていたかと思うと、突然歌い出す。歌っていたのがいつの間にか語りになる。そんな緩急自在な音楽を二人のソロと二人の通奏低音が呼吸ぴったり合わせて演奏していました。代表チームに欠如しているチームワーク、共通の感性、連動性、滑らかな動きだし・・・そういったものの全てがここにありました。

その後、前半はコレッリを編曲したシックハルトのソナタ、オトテールのソナタ。コレッリの時代からはっきりと楽章が分かれるようになりますが、それでもまだまだ初期のオペラ様式を引きずっているところがあります。オトテールになると、さすがにそれはなくなって、章立ての音楽が確立したかなって感じ。トリオソナタ ロ短調 Op.3-3と言われてもよくわかんないけど、多分横に吹くトラヴェルソの曲でしょう。山岡には珍しくヴォイスフルートを演奏していました。d管のリコーダーですけど、かなり低い音域でちょっとリコーダーのトリオとはかけ離れた響きに感じられますけど、耳が慣れてくるとそれなりに面白い。トラヴェルソだとモヤモヤ、モコモコしたアーティキュレーションが、リコーダーだとやはりすっきりと澄んで聞こえますから、音楽のディテールがわかりやすい。だからといって、オトテールが名曲だと理解したわけじゃありませんが。

後半はテレマンのトリオソナタ ニ長調というターフェルムジーク第3集のトリオソナタ。これもトラヴェルソの曲だったと思います。ことさらリコーダーでやる意味がよくわからないんですけど、それなりに楽しい演奏ではありました。

ヘンデルのソナタロ短調はヴァイオリンの曲。これはアルトで吹いていました。曲の最初に桒形が弾くトッカータ風のチェンバロのソロが置かれて、「ヘンデルだぞぉ」って雰囲気を盛り上げてから本曲の入ります。教会ソナタの形式ですが、ヘンデルらしい大らかで気品のある音楽。最後にサンマルティーニのソナタニ短調。この人の人生はバッハの生涯の中にすっぽり入っちゃうわけですが、バッハよりはロココに近かった人なのかな。よくそんな感じがする人です。

リコーダーの二人の他、ガンバの平尾、チェンバロの桒形の不動の安定感がこのグループをしっかりと支えていますね。一人一人が何をすべきかはっきりわかっている。この音楽を聞きながら、サッカー日本代表の体たらくにますます嫌悪感をつのらせたひとときでありました。それにしても、日曜の真っ昼間に音楽会を設定するって、如何なものか。聞く方としちゃ、わざわざ日曜に上野の路地裏まで出かけなきゃならんというのは、面倒で仕方ないんだが。