ナタリー・デセイ & フィリップ・カサール2014/04/17 16:34

今日も春うららな一日。このところずっと雨が降らず、かなり乾燥した状態です。まだ4月だというのに、一日おきに散水しています。




アイリスがどんどん開いています。



去年枯らしちゃったかなと思ったカロライナ・ジャスミンが、どっこ生きていました。



前回芝を刈ったのは、先週の火曜(4月8日)。一週間ちょっと経って、かなりボサボサになっています。





そこで昨日(16日)、芝刈りをしました。少し芝の密度も上がってきたみたいで、刈りあとにうっすらとストライプが出るようになってきました。






芝刈り機だと、ボーダーのレンガに沿ったところは刈れないんで、またそのうちバリカンで刈らないとならないかな。

春の客人

ツツジの蜜って甘いのを知ってるんでしょうか。

トムピリさん

クロかあちゃん




昨日(4月16日)は池袋の芸術劇場でドゥセのリサイタルを聴いてきました。Dessayという名前、以前は「デッセー」なんて書かれていましたが、今回の呼び屋(農協じゃない方の)JAは「デセイ」と仮名にしています。本人は “2C” とサインするそうで、「ドゥセ」と書くのが一番近いはずです。

そんなことはどうでもいいんですが、昨日のリサイタルはクローズドな鑑賞団体向けの公演でした。まあそのお余りのチケットを入手したわけですが、普段は絶対に買わない、音が上に抜けてっちゃう1階席だったので、適切な感想かどうかわかりかねますが、とにかく思いついたことを書いておきます。

まず思ったのは、「時の流れは残酷」。記憶に残っていたドゥセとは全くの別人になっていました。え〜と、曲目は・・・

クララ・シューマン C.Schumann 
5つの歌曲より「美しいために私を愛するのなら」(リュッケルト) 作品12-2
Liebst du um Schönheit (Rückert)

ユクンデによる6つの歌より「ひそやかな語らい」(ロレット) 作品23-3
Geheimes Flüstern hier und dort (Rollet)

6つの歌曲より「彼らは互いに愛し合っていた」(ハイネ) 作品13-2
Sie liebten sich beide (Heine)

3つの詩より「風雨の中を彼はやって来た」(リュッケルト) 作品12-1
Er ist gekommen in Sturm und Regen (Rückert)


ブラームス Brahms
4つの歌より「ひばりの歌」(カンディドゥス) 作品70-2
Lerchengesang (Candidus)

5つの歌曲より「私の歌」(フライ) 作品106-4
Meine Lieder (Frey)

5つの歌より「秘めごと」(カンディドゥス) 作品71-3
Geheimnis (Candidus)

デュパルク Duparc 
戦いのある国へ(ゴーチェ)
Au pays où se fait la guerre

旅への誘い(ボードレール)
L'Invitation au voyage (Baudelaire)

恍惚(ラオール)
Extase (Lahor)

R.シュトラウス R.Strauss 
5つの歌より「私の心は迷う」(ヘンケル) 作品48-2
Ich schwebe (Henckell)

おとめの花より「すいれん」(ダーン) 作品22-4
Wasserrose (Dahn)

8つの歌より「夜」(ギルム) 作品10-3
Die Nacht (Gilm)

2つの歌より「春のひしめき」(レーナウ) 作品26-1
Frühlingsgedränge (Lenau)

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プーランク Poulenc 
気まぐれな婚約(ヴィルモラン)
Les Fiançailles pour rire (Vilmorin)
 1.アンドレ夫人 La Dame d'André 
 2.草の中に Dans l'herbe 
 3.飛んでる Il vole
 4.私の屍は長手袋のように柔らかだ Mon cadavre est doux comme un gant
 5.ヴァイオリン Violon
 6.花 Fleurs

ラフマニノフ Rachmaninov
ヴォカリーズ 作品34-14
Vocalise

ここはすばらしい場所(ガリーナ) 作品21-7
Zdies kharacho

ドビュッシー Debussy 
現れ(マラルメ)
Apparition (Mallarmé)

アリエルのロマンス(ブルジェ)
Romance d'Ariel (Bourget)

ドリーブ Delibes
歌劇『ラクメ』から「美しい夢を下さったあなた」
“Tu m'as donné le plus rêve”, extr. de Lakmé



黒髪をブロンドに染め、睫毛にも金色のスパンコールを振りかけ、キンキラキンのラメラメ・ドレスに身を包んで登場。こんな色彩で、タイトなドレス。 

まずクララ・シューマンやらブラームスやらの多分一度も聞いたことがない曲が並びます。どれもこれもモヤッとした、掴み所のない叙情的なメロディ。シューマン夫人の曲は旦那の「アラベスク」のようなピアノの曲想に歌を乗っけた感じ。それに比べると聞いたことはないとは言え、ブラームスの作品はさすがと思わせるところがありました。プログラムによるとドゥセはドイツ語が堪能なんだそうだ。でもブラームスまでは借りてきた猫状態。もともとオペラの人で、舞台設定のないリサイタルで自己表出をするのは慣れていないのかな。やっとデュパルクになって、言葉の束縛から解放されて自分の音楽を表現し始めたように聞こえました。その後のシュトラウスはもちろんドイツ語ですが、ブラームスに比べると曲の華やかさが違うんで、楽しく歌っていたみたい。

後半はシルバーメタリックというか、チタン合金のような鈍い金属的輝きのドレスにお召し替え。

何と言ってもこの日の白眉は後半の最初に歌われたプーランク。ピアノのカサールの好アシストもあって、みごとな歌だったと思います。特に5曲目のヴィオロンあたりは歌の世界に浸りきっていました。ラフマニノフのヴォカリーズは力強い歌い方でしたが、かつての透明で伸びやかな歌声とは打ってかわって、ビラビラのかなりきついビブラートがかかって、これはちょと違うんじゃないのって気がしました。その次のドビュッシー2曲はすばらしかった。これもきらめくようなピアノの音色にサポートされて、みごとな歌唱。「現れ」は輝くような色彩が空間を満たしているような気がしました。最後の『ラクメ』は、一人じゃフラワーデュエットはできないし、ドゥセと言えばやっぱり「鐘の歌」だよねと思いこんでいたら、大詰めの自殺のアリアでした。ちょっとストレスがたまったから、お口直しに「鐘の歌」の映像。


アンコールはドビュッシーの信じられないほど美しいメロディー『星の輝く夜』。それからヴェルレーヌの詩に乗せたフォーレの『マンドリン』。

はっきり言うと、私はドゥセの歌よりもカサールのピアノに聞き惚れていました。色彩豊かでキラキラと輝くような音色。楽譜の縦線を感じさせない、自由な時間のコントロール。ドビュッシーを得意としているそうなんで、リサイタルを聴いてみたいですねぇ。

浅里公三という人が書いた、ちょっとアクの強いプログラムの文章によると、ドゥセはオペラにはもう出ないんだそうだ。残念ですねぇ。これからリサイタル中心の活動をするそうだけど、もともとステージ上での演技力がずば抜けていた人だけに、芝居がないリート歌手として大成するかどうかはちょっと疑問。この日の歌からも音楽を通して何かを表現する意志が強く伝わってきたわけじゃないし、これからどうなっていくのかなぁ?

ドゥセの全盛期のオペラ。ストラヴィンスキーの『夜鳴きうぐいす』の映像がまだ残っていました。

この映像については、かなり細かく説明したことがあるので、興味がある方はこちらをご覧ください。