セイキロスの墓碑銘2012/06/11 22:19

雨は降りませんでしたが、やはりこの時期らしいじめっとした天気。




ラ・フランスの2番花。

パパメイアンも2番花。




スペクトラの2番花が満開になってきました。




テイカカズラ、抹香臭い花です。





パニアグア一族の長兄(?)はグレゴリオだったかな。今から30年数年前に彼を中心としたアトリウム・ムジケーというグループが『古代ギリシャの音楽』というレコードを出しました。ちなみにこのグループ、『臀上の音楽』とか『花よりファンダンゴ』とか、まあ何と申しましょうか、その筋もののレコードを何枚か出しています。

HMVのサイトに載っている当時の批評。

SN比がよく、残響がすごく長く豊かで美しく、しかも直接音は鮮明で力強い。音像の輪郭は自然、定位も自然で、音場は3次元的に深く広い。はるか彼方に雀の声がきこえる。雀の声はアルバムを通して絶えず入っている。
Dレンジは圧倒的に広く、こんなに力感のある、厚みのある音はきいたことがない。ぞっとするほどの生々しさがある。こんな録音は通常の方法では不可能である。筆者の想像では、録音場所は、人里離れた修道院の、天井の高い礼拝堂、時間は早朝、マイクは2本、2トラックデッキ直結、リミッター、ドルビー、ミキシング等いっさいなし、というのを基本にしていると思う。とにかくすばらしい録音である。(オーディオ評論家 長岡鉄男)~1980年ステレオ誌11月号より抜粋


とまあ、長岡のテッチャンが泣いて喜ぶほど、飛び抜けた優秀録音なんですが、肝心の音楽の中味に関する話はほとんど伝わってこない。なぜか? 内容がないからです。やっている音楽は詐欺師的、欺瞞と自己顕示欲に充ち満ちたインチキそのもの。パニアグア一族の中で、このグレゴリオだけはいつの間にか消えてなくなっちゃいました。

さて、そんな『古代ギリシャの音楽』ですが、全く根拠がナイというわけでもなくて、その中に含まれている『セイキロスの墓碑銘』という一曲は現存する世界最古の音楽の一つだろうとは想像できます。

この墓石は、古代ギリシャのアルテミス信仰の聖地であった小アジアのエフェソスの近郊で発掘されたもので、恐らく紀元前2世紀ぐらいのもの。墓石には音楽の他に次の文言が彫られています。

「わたしは墓石です。セイキロスがここに建てました。決して死ぬことのない、とこしえの思い出の印にと。」

刻まれた歌詞に音の高低とリズムを表す記号がつけられています。歌詞は次の通り。

生きている間は輝いていてください
思い悩んだりは決してしないでください
人生はほんの束の間ですから
そして時間は奪っていくものですから

何となく、ヘレニズム時代の大らかな人生観を表現しているようにも思われます。細かいことはさておくとして、19世紀に発掘されてすぐに解読されたんですが、多分この解読には説得力があると思います。五線譜に転写した旋律。



それで、詐欺師グレゴリオとは別のパニアグア兄弟の演奏。尺八なんかも登場しちゃって、なかなか面白い。