ヴァルプルギスの夜 ― 2011/04/30 18:02
いろんな花がどんどん開いてきます。
ヨーロッパでは5月が春の始まり。一斉にありとあらゆる花が咲き始めます。「君は花の如く」「歌の翼に」、「ローレライ」などなど、ドイツ・ロマン派の神髄とも言ってよい数多くの名作がてんこ盛りのハイネの『歌の本 "Das Buch der Lieder"』の中に、「美しき五月」という詩があります。
『歌の本』というと『海潮音』の上田敏の訳詞があったような気がしていたんですが・・・
ちょっと調べてみたら、よく流布しているのは片山敏彦の訳のようです。
いと麗しき五月 (Im wunderschönen Monat Mai)
なべての莟[つぼみ]、花とひらく
いと麗[うるは]しき五月の頃
恋はひらきぬ
わがこころに。
諸鳥[もろとり]のさへづり歌ふ
いとも麗しき五月の頃
われうち明けぬ、かの人に
わが憧れを、慕ふ思ひを。
今日の音楽はもうおわかりですね。ハイネの詩にシューマンがメロディをつけた、『詩人の恋』の第一曲。ヘルマン・プライが歌う「美しき五月に」。
ゲルマン・ケルト・ローマといったキリスト教以前のヨーロッパ人の心の古層の中に、土俗的な風習ですが「五月祭」というのがあります。メイフェアですね。陽の光が戻ってくるのを祝うお祭りです。柱(メイポール)を立ててリボンで飾って、その周りで踊ったり、若い娘たちの中から5月の女王(メイクイーン)を選んだりというあれです。で、この5月を迎える前夜祭がヴァルプルギスの夜。死者と生者の境が曖昧になるというんですが、日本のお盆のようなもんでしょうか。ゲーテの『ファウスト』で、魔女たちが乱痴気騒ぎに興じる場面が有名ですが、今でもヨーロッパ各国でそれなりの風習で行われているようです。
これと対になるがたぶんハロウィン。暗い冬を迎えるに当たって、収穫に感謝するって意味なんだと思います。
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