11/9 ドニゼッティ『連隊の娘』2024/11/10 11:27

昨日(11月9日)は日生劇場でドニゼッティの『連隊の娘』を見てきました。公演情報、あらすじ、スタッフ&キャスト等々はこちらから

なかなかポップな舞台。演出は粟國淳。二国でツェムリンスキーの『フィレンツェの悲劇』、プッチーニの『ジャンニ・スキッキ』、同じくプッチーニの『修道女アンジェリカ』、ラヴェルの『子供どもと魔法』など、悲劇から喜劇まで幅広く演出を手掛けている人です。今回の『連隊の娘』は、おもちゃ箱をひっくり返したような楽しい舞台でした。特に合唱の動かし方がうまいねぇ。合唱団にもダンスの要素を振り付けて、雑然とした中にも秩序が感じられる興味深い表現方法でした。また衣装や大道具・小道具の類もそれぞれに工夫を凝らして、楽しかったねぇ。

歌手ではマリーを歌った砂田愛梨が、ちょっと荒削りなところはありますが、スピントの効いたよく通る声と、コミカルな演技で喝采を浴びていました。トニオの澤原行正は急な代役でしたが、ハイCもそつなくこなして、聴き応えのある歌唱。シュルピスの山田大智も、太い声とコミカルな演技が光っていました。合唱も含めて、総じて配役はよかったんじゃないかなと思います。原田慶太楼指揮の読響は、軍楽隊の行進曲と愛を歌い上げるロマンスとの間で大健闘。

ただ1つ言いたいのは、典型的な駄作オペラですねぇ。パリのオペラ・コミックで初演され、その後コミック座で20世紀の初頭までに1000回以上の上演を重ねたそうだが、如何せん音楽が薄味。『愛の妙薬』、『ランメルモールのルチア』、『ドン・パスクワーレ』などと比べて、かなりの駄作だ。この日の日生劇場は満員札止めで客席もかなり湧いてたけど、なんだかなあ。滅多に上演されない作品にはそれなりのわけがある。

『ぶらあぼ』にゲネプロの舞台写真などが載っています。