ストラヴィンスキーの『夜鳴きうぐいす』2013/10/24 22:04

台風が沖縄あたりに停滞しているため、本州にかかった前線の雨で西日本は雨。東京もパラパラっと降ったりして、嫌な天気です。写真はもちろん天気のいい日に撮りだめしておいたもの。

アンジェラ

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えーと、ヴァルターの『菩提樹の下』に登場したナイチンゲール。日本語では「夜鳴きうぐいす」なんて呼ぶこともあります。うぐいすっていうやつは、よく音楽作品に登場しますが、その中でもオペラの主役を張っちゃった「うぐいす」と言えば、やはりストラヴィンスキーの『夜鳴きうぐいす』。3幕で45分ぐらい、短いけどよく出来たオペラです。『火の鳥』、『ペトルーシュカ』、『春の祭典』といったバレエ作品とほぼ同時代に手がけていて、初演が1914年だったかな? このビデオではロシア語で歌っていて、字幕もついていないので簡単に説明をしておきます。

原作は有名なアンデルセン童話。舞台は中国。第1幕は小舟に乗った漁夫が悠久な大地や自然を歌っていると、うぐいすのさえずりが聞こえてきます(8分あたり)。歌っているのはフランスのソプラノ、ナタリー・ドゥセ。皇帝の命を受けた廷臣達が森にナイチンゲールを探しにやってきます。ナイチンゲールの歌声がわかるのは料理番の娘だけ。14分15秒あたりからまたナイチンゲールが歌い始めます。娘がナイチンゲールを見つけると、廷臣達が捕まえて籠に入れ拉致します。幕の最後にまた漁夫が登場。きれいなテノールを聞かせてくれます。

第2幕は宮中晩餐会の場面(17分10秒から)。皇帝が登場し、ナイチンゲールが御前で歌声を披露します(23分あたりから)。皇帝は感激のあまり涙を浮かべ、廷臣達も拍手喝采。そこに遣唐使でしょうか、日本からの使者が登場します(28分10秒あたり)。これがなかなか秀逸で、あの下品な立ち居振る舞いはまるでトランジスター・ラジオを売り込むソニーのセールスマンといった風情。彼らは皇帝に機械仕掛けのうぐいすを献上します。昔の水洗トイレのような鎖の先にぶら下がった持ち手を引くと、機械仕掛けのナイチンゲールが歌い出します。歌はオーボエのソロです。日本製のナイチンゲールが歌っている間に、本物はどこかに飛んでいってしまいます。怒った皇帝はナイチンゲールをエグザイル処分に。一方機械仕掛けのナイチンゲールを宮廷歌手に取り立てます。

第3幕。死の床に臥す皇帝。皇帝は死神に取り憑かれています。皇帝は死を追い払う音楽を所望(36分)。でも日本製の機械仕掛けのナイチンゲールはとっくの昔に壊れてしまって、使い物になりません(ソニー・タイマー)。そこに颯爽と本物のナイチンゲールが登場(36分30秒)。この歌に皇帝ばかりか死神(太ったおばさん)までも聞き惚れてしまいます。何と死神がアンコールをせがみます。ナイチンゲールが死神に、奪った冠や剣や旗を返したら歌ってやると言うと、死神は喜んで返還します。死神は消え去り、皇帝は快癒。皇帝がナイチンゲールに最高の褒美を取らせると言うと、ナイチンゲールは「陛下の涙こそ最高のご褒美」と歌い、「毎日暗くなったらここで歌いますよ」と言って飛び去ります。