ジャヌカンのシャンソン『寝ては夢、覚めてはうつつの』じゃなかった、『夜ごと夜ごとに』2013/10/19 22:07

今日ははっきり秋を感じました。でも屋上ではまだ、ツマグロヒョウモンがつがいでホバリング していましたが・・・

台風の前からずっと咲き続けているアンジェラ

アリスター・ステラ・グレイ。グレイはこのバラを作った人の名前。アリスターがその娘。ステラはアリスターを産んだときに産褥死したんだったかな。

シャルル・ドゴール。秋はちょっとボウリングぎみです。







この秋はコルデス・ペルフェクタが真価を発揮しています。さすがにコルデスさんが「完璧」と名付けただけあって、見目麗しく、その香りはレノアハピネスなんかの比じゃありません。


泣く子も黙るモダンローズ第1号、ラ・フランス。これも香りのバラ。


中心のコロコロした丸い部分がかわいいです。

レディ・ヒリンドン。ミルクティーの香りがします。


枝が細くてしなやか。ややうつむき加減に咲くので、スタンダード向き。

新人のマダム・アルフレッド・カリエール。これもいい香り。




オレンジ・マザーズデイ。母の日だけじゃなくて、春から秋までず〜〜っと咲いています。

名残のサルスベリ




ジャヌカンのシャンソン、今日はメロディーがとても美しい『夜ごと夜ごとに』。

ウンベルト・エーコの『バウドリーノ』に登場するパレスチナ出身のキリスト教徒、アブドゥル。竪琴をかき鳴らしながら、見たこともない理想の姫君への愛の歌を切々と歌います。

五月、日が延びて
遠くの鳥の歌声が甘く響くのは、
この旅が始まってからいっときも、
はるかなる愛を私が忘れたことがないから。
わが苦悩ゆえ、頭を垂れて歩く私は、
もはやその歌にも癒されず、サンザシが……

エーコは何食わぬ顔で自分の小説に取り込んじゃっていますが、これはちゃんと原作があって、12世紀に実在したジャウフレ・リュデルというトルバドゥールがオック語で書いた詩。「遠くからの恋 amor de lonh」という奇妙な恋愛の概念を作り出した詩人です。リュデルの曲はこんな感じ。


そして時は流れ、今やルネサンス真っ盛り。同じフランス人のジャヌカンはこんなシャンソンを作曲しました。落語みたいですが、「寝ては夢、起きてはうつつのまぼろしの・・・」って感じ。

夜ごと夜ごとにあなたの姿は現れる、
甘くやさしい夢のうちに。
陽のあるうちはあなたの姿は私には見えぬ、
ああ、何という心残り、
それ故、私には夜の方がありがたい、
夢の中にしかあなたの姿は現れぬ、
されば眠れ、昼のうちに、私の哀れな両の目よ、
絶えることなくあなたを夢見んがために。

精緻な対位法で作曲されているんですが、普通の曲とは一風変わってソプラノのメロディーがすばらしく美しい。ルネサンスのポリフォニーの曲の中には、たまにこのようなホモフォニック作りのものがあります。演奏は久々にア・セイ・ヴォーチ。