新国立劇場バレエ マクミランの『ロメオとジュリエット』 ― 2011/07/02 23:35
昨日(7月1日)は二国でバレエの『ロメオとジュリエット』を見てきました。振り付けはケネス・マクミラン。サドラーズ・ウェルズ・バレエ団(今のロイヤル・バレエやらバーミンガム・ロイヤル・バレエ)の伝統的な演目ですね。二国バレエのビントレー監督がバーミンガムと兼任している関係で、10年振りだそうですがこのマクミラン版が二国でも再演されることになったんでしょう。
音楽は超有名ですよね。ほとんど隅々まで耳に馴染んでいる曲ばかりですが、実を言うと踊り付きで見たのは初めてでした。見ての感想は、「やっぱりプロコフィエフの音楽は凄い!」 まあ、そんな程度のデデさんの感想ですから、あまり真剣に捉えないでくださいニャ。
最近立て続けにストラヴィンスキーの『ペトルーシュカ』と『火の鳥』の舞台を見ました。『ペトルーシュカ』はパリのオペラでバレエ・リュスの100周年だかの出し物。オリジナルの振り付けが音楽と一体となった様子が興味深かったですねぇ。『火の鳥』は二国の舞台。これもオリジナルのフォーキンの演出で、音楽が実に忠実に動作に反映しているところが非常に面白かったです。別に当て振りというわけではなくて、踊りと音楽とが不即不離に融合した、この時代ならではの音楽と踊りの幸福な結婚と言ったらよいのでしょうか。
それでロメオとジュリエットですが、初演に際してはまあ、いろいろトラブルがあったと聞きます。レニングラード・バレエでのラブロフスキーの振り付けと、シュトゥットガルト・バレエのクランコの振り付け、それらを見たマクミランの振り付けという主なものでも3通りあるそうですが、マクミランの振り付けでもストラヴィンスキーの場合と同じように、音楽と踊りが驚くほど一体化していますね。
ストーリーはほぼシェイクスピアの原作に忠実です。最初にロメオと遊び仲間の3人が現れますが、どれがロメオかマキューシオか、区別がつきません。この日のロメオは立ち姿だけじゃなくて踊りにも全く華がなかったですね。むしろ脇の2人の日本人ダンサーの方が立派に見えちゃったりして。ジュリエットも同じ感じ。見るからにうぶな深窓のお嬢様といった雰囲気を出そうとするんですが、体から発散するものがそれとは逆のもののように思えてしまう。
大井剛史指揮の東フィルは文句のつけようがない名演。2幕3幕と進んでいくうちに、幕の前にブラヴォーがずいぶん飛び交っていました。ところで、ピットに入っていた6人のマンドリン奏者。どこから集めたんでしょうね? 明大マンクラOB会とか、そんなのでもあるのかいな?
舞台の方では、舞踏会の場面とか、バルコンの場といった所ばかりでなく、1幕1場や2幕3場の斬り合いのシーンなども音楽と振りとが絶妙なマッチングをしていました。ダンスとともに、剣舞、あるいは殺陣としてもかなり見応えのあるシーンといえるでしょう。特に1幕の斬り合いでは、開幕して間もないうちから死体が積み上げられて、二人の主人公の宿命というのか運命というのか、そんなものを暗示しています。ティボルトを踊った輪島拓也という人、悪役のいやらしさがよく出ていました。マルキューシオの福田圭吾やら、パリスの厚地康雄なんて人たちもなかなか好演。本音を言うと、ロメオよりパリスの方がどう見てもいい男に見えたんですが…
あ、そうそう、最後の墓場の場面。(ホントはまだ生きている)ジュリエットの死体をかついてロメオが踊るんですが、ここは凄みがありましたねぇ。リフトするとまともに体重が掛かるでしょうし、引きずり回すのも力尽くです。いやむしろ、でれっと力を抜いているように見せるジュリエットの方が本当は大変なのかも。ああいう力業の踊りを見ているとちょっとボリス・エイフマンの振り付けを思い出してしまいました。と同時に『寝ずの番』で、死体(長門裕之)に無理やりかっぽれを踊らせるシーンも思い出してしまったじゃないか。
二国のサイトには10年前の上演のダイジェストしかないし、それも音と映像がシンクロしていないんで、YouTubeのビデオをいくつか。どれもマクミラン版ですが、どうもミラノのスカラ座で上演されたものみたいです?
* バルコンの場面
* 2幕の剣劇シーン(ティボルトがマルキューシオを殺害。ロメオがティボルトを殺害。)
* 墓場の場面
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://dede.asablo.jp/blog/2011/07/02/5939780/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。