周防亮介@青葉台フィリア ― 2024/08/31 19:50
台風接近の真っ只中、田園都市線の青葉台まで遠征して、周防亮介の無伴奏リサイタルを聞いてきました。おい、こんな日に出かけるのかよ、って感じです。なんだか雨量もどこで区切ったらいいのかよくわかんない状態ですが、とりあえず青葉台フィリアのホームページでは音楽会を開催するということでした。 いやあ先日のトッパンホールも凄かったけど、今日の演奏会もよかったねぇ。曲目はプロコフィエフの無伴奏ソナタ。それから最近聞いたイザイの無伴奏の2番と6番。最後にバルトークの無伴奏ソナタ。いやぁすごかった。この人大変な才能だと思う。
プロコフィエフの無伴奏は大人数でユニゾンで弾くのを目的として作曲されたんだそうで、さほど面白い曲ではないんですが、周防君の演奏はそんな曲でも真っ向勝負。いささかも力を緩めることなく突っ走っておりました。イザイの2番はバッハのパロディが散りばめられた中から、グレゴリオ聖歌の「怒りの日」のメロディーが浮かび上がってくるという、多層的な音楽。豪快にでも重音の一つ一つを丁寧に響かせて、カテドラル建築のように巨大な響きを構築していました。6番は言わずとしれた超絶技巧の限りを尽くした作品。これも重音の響きがものすごく正確で、しかも切れ味鋭い音楽でした。
後半はバルトーク一曲。これは面白かったですねぇ。メニューヒンの委嘱で作曲されたということで、バッハの影響が色濃く出ています。第1楽章は「シャコンヌのテンポで」と指示があるんだそうで、ゆったりとした重音を効かせた音楽。第2楽章はもろにフーガ。結構刺激的なテーマでグイグイ押していきます。第3楽章はこの日の白眉だったでしょうか。不安感漂うメロディーを朗々と紡ぎ出し、安定を希求しようとするんだけど、どうしても落ち着きが悪い、そんな不安定な音楽をうまく弾いていました。第4楽章は、メニューヒンが目を剥いたと言われる超絶技巧。4分音やら左手のピツィカートやら、面倒くさい要素がゴマンと含まれているみたいですが、周防君はいともやすやすと弾ききって余裕の表情。アンコールにはバッハの無伴奏ソナタ第1番のアダージョ。バルトークの締めとしてはこのバッハ必須だったのかもしれません。
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