3/14 ジャン=ギアン・ケラス無伴奏チェロリサイタル@浜離宮朝日ホール ― 2024/03/15 11:20
昨晩は朝日ホールでケラスの無伴奏ばっかりのプログラムを聞いてきました。まずバッハの無伴奏チェロ組曲第1番ト長調。開始のプレリュードから速度も、楽器の鳴りも全開。わざとらしい音楽のタメのようなものは一切なく、気持ちよく弾ききっていました。しかも対位法の表現の見事なこと。また様々な舞曲の洗練された味わいは格別でした。2曲目はベンジャミン・ブリテンの無伴奏チェロ組曲第1番。へ〜ぇって感じの曲ですねぇ。ブリテンという作曲家は非常に器用な人で、様々な作曲の技法に精通していたんだと思います。ロストロポーヴィチに触発されて書いた曲だそうですが、チェロで発音できる限りの様々な音が発せられます。だけど何となく掴み所がない、とりとめもない時間が流れていく。美しいと思える瞬間もあるんですが、それが有機的に聞き手に訴えかけるところまでは至らない、散漫な音楽。
後半はまず黛敏郎の無伴奏チェロのためのBUNRAKU(文楽)。太棹を模したダイナミックなピツィカートと太夫を模したドラマティックな弓による語り。文楽のどんな演目を考えていたのかは不明だが、なかなか面白い発想だと思う。が、しかし所詮は本物の文楽を表現したことにはならない。これを聞いて文楽に目覚める人もいないと思うし、まあ、チェロの超絶技巧を見せるための曲かなぁ。次にリゲティの無伴奏チェロ・ソナタ。現代音楽とは言いながら、なかなか聴きごたえのある作品をたくさん書いたひとですが、この無伴奏ソナタも様々な工夫があって、前半のブリテンの曲ともちょっと通じるような叙情の断片、整った和声の痕跡のようなものが感じられました。最後に演奏されたのはバッハの無伴奏チェロ組曲第5番ハ短調。フランス風序曲の付点リズムとそれに続くフーガのテンポ感が非常に心地よい。めくるめく技巧もさることながら、きちんと対位法の各声部の横のつながりを聞かせてくれます。溌剌としたガボットとそれに続くジーグの高揚感、たまらんです。アンコールの2曲目に演奏した無伴奏チェロ組曲第6番のプレリュードも、楽しかったですねぇ。かなり速いテンポの中に、様々な声部のエピソードが端正に鎮座する。しかも4本の弦で重層的に動き回る。ちょっと画期的な演奏だったように思います。
ケラスのバッハ
*************
今日はこの時間すでに16℃を超えています。ちょっと南寄りの風がありますが、紺碧の空が広がっています。
ヴェロニカ
むむむ、なんということでしょう。つるバラの蕾です。
オールド・ブラッシュ
マーガレットにヒラタアブさんが来ています。春ですねぇ。
最近のコメント