箱根2018/11/17 17:43

昨日に続いて箱根の写真。


まず、あまりにも有名な景色。



玉くしげ 箱根のみ海 けけれあれや 
ふた国かけて 中にたゆたふ

実朝の歌。一見わけわからん歌のようですが、「玉くしげ」は箱根を引き出す枕詞。正確には櫛などの化粧道具を入れる「箱」を呼んでいるようです。「けけれ」はこの時代の関東方言で「こころ」のこと。「箱根のみ海」はもちろん芦ノ湖。「ふた国」は当時の相模と駿河、現在の神奈川と静岡。というわけで案外意味は単純です。

実朝にはもう一つ有名な歌があります。

箱根路を 我が越えくれば 伊豆の海や 
沖の小島に 波のよる見ゆ

箱根のロープウェイで大涌谷から桃源台に向かって下っていく途中、一瞬芦ノ湖の向こうに海が見える場所があります。多分駿河湾だと思いますが、実朝が詠んだのは相模湾のほう。箱根峠を西から越えてきて真鶴か小田原あたりに出たところ、あるいは十国峠あたりから海を見下ろしたんでしょうか。「沖の小島」は大島か初島か? 大島に波が寄せてるところは目には見えないと思うけど、心象風景というやつかもしれない。

同じような情景ですが、

大海の 磯もとどろに 寄する波 
割れて砕けて さけて散るかも

この歌は好きだな。実朝はもちろん鎌倉三代将軍ですが、歌は万葉調と呼ばれます。波が押し寄せる様子を動詞を4つ投げつけるように重ねて、迫力満点の表現にしています。三十一文字の中にものすごく雄大な情景が広がっていると思いませんか。

峠道にアザミが一輪咲いていました。

箱根旧街道。実朝が歌っている「箱根路」です。有名な石畳で舗装されたのは江戸時代のホントに終わり頃だったらしい。

箱根の遊覧船やロープウェイに乗っていると、観光客は日本人2割、アジア系4割、欧米人4割といった感じで、圧倒的にインバウンド客が多いんですが、旧道を歩く人は日本人と欧米人が五分五分ってところです。アジア人はまず歩かないし、アメリカ人(たぶん)も歩かない。歩いているのはヨーロッパの大陸の方の人。フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、北欧の言葉、スラブ系の言語などが飛び交っていますが、英語はまず聞こえてこない。

モミジがちょこっと。

甘酒茶屋。自動車道路も並行して走っているんで、中高年というか、熟年というのか、はっきり言うとジジババのライダーが結構多い。轟音をまき散らしながら走って行きます。バイクにはかなり金をかけているみたい。若者はロード・バイクでスマートに上がってきます。

仙石原



これだけススキがあると、茅葺きの家が何十軒も葺き替えできますね。


初めて強羅公園で花が咲いているところを見ました。今まで枯れ木ばかりの時期にしか来たことがなかったんですが、まあまあきれいだ。でも入場料540円てのはどうよ?





梅か桜か、狂い咲き。


数少ない箱根のモミジ




ホテルの庭の電飾




佐藤俊介のヴァイオリン、リチャード・エガーのチェンバロでコレッリのソナタOp.5-1。