佐藤俊介 バッハ無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ全曲2018/11/05 16:27

昨日11月4日は所沢で佐藤俊介のヴァイオリンを聞いてきました。曲目はバッハの無伴奏全曲。1日で全曲弾くのは珍しいと思いますが、ミューズの小ホール(キューブホール)は満員札止め。(ちなみに来週の浜離宮も完売らしい) ソナタ第1番の荘重な重音が鳴り響いた瞬間から、演奏者のみならず聴衆の緊張感がホールに充満していました。ただ、荘重な重音と言っても、通常とはちょっと違う。音楽芸術とはかくあるべしといった趣で厳かに弾かれてきたバッハの無伴奏ですが、重音の響きに濁りがなくて明快にすら感じられるのだ。そして重音を構成する音の一つ一つの意味が明確に伝わってくる。フーガになるとそういった明快さが一層冴え渡る。鍵盤楽器に比べるとヴァイオリンのフーガは音の密度がどうしても薄くなるのは仕方ないが、主題の入りを丹念にニュアンスを付けて表現するので非常にわかりやすい。しかも対位法的な構造をわかりやすく解き明かすだけでなく、和声的な縦方向の響きも細やかにコントロールして、聞き手の耳に愉悦を与えるのを忘れない。シチリアーノではメロディーと対位法的な対旋律のたゆたうようなやりとりをたっぷり聞かせたかと思えば、プレストの疾走感・爽快感は類を見ない。それでいてメロディーの背後から明らかに和声の響きが聞こえる。

パルティータでも、一つ一つの舞曲を丁寧に弾き分けながら、対位法的な構造を表現することを忘れずに、わかりやすく横の線も聞かせてくれる。こんな具合にバッハを演奏するヴァイオリン弾きは今までに聞いたことがないですねぇ。オリジナル楽器のムーブメントの中で、弦楽器はとにかく演奏技術が遅れていました。少なくとも聞き手からすればクイケンの実演は聞けたもんじゃなかった。あれならまだグリュミオーやシェリングの方が面白い。ビオンディもちょっとだけバッハをやったけど、この人はドイツ音楽はお門違いのようだ。最近ナントカ・老婆という女の子がモダンもオリジナル楽器もやりますとかっていうのを売りにしているけど・・・(そうだ、ムローバだ)、あれはバッハの音楽とは全く無縁のお稽古事。その一方で、レ・シエクルやムジカエテルナのように、オケ全体が古楽もモダンもその時代のスタイルで演奏するようなグループが生まれてきています。佐藤俊介のようにモダンとオリジナルの境目を自由に行き来して、その時代の音楽を個性的に演奏できる人が出てきているんですね。いつか所沢で聞いたイブラギモヴァという人もそういった最先端を行く数少ない人かもしれません。

パルティータでは(全部確認しながら聞いていたわけじゃないですが)、音楽を慈しむかのように舞曲の全ての繰り返しを丹念に演奏していました。それなのに全く冗長さを感じなかったのは、繰り返しは二度と同じ弾き方をせず、あたかもその瞬間に生まれ出たかのような装飾を施し、あるいは強弱のコントラストを付け、まるで話をするかのように音楽が自然に流れていったから。このような実演に接することができた幸福感に浸っております。

6曲を一日で弾くこと自体珍しいのに、20分ほどの休憩を挟んで前後半3曲ずつ、完璧に弾ききった佐藤の体力と集中力には脱帽です。3時に始まって終演が5時50分。マラソン・コンサートでございました。

佐藤俊介の弾くバッハの無伴奏パルティータ第2番


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昨日今日と雨が降ったり止んだり。雨量は3.5ミリ。昨日はちょっと肌寒くて昼間の最高気温が17.2℃。今日は22℃まで上がっています。これから先しばらく天気はイマイチで、気温は高めの日が続くんだそうだ。

朝、ちょっと晴れ間が見えたときに撮った写真。
パパメイアン




ドゥフトゴルト




フレグラント・アプリコット


秋の晴天が続くかと思いきや、このところちょこちょこ雨が降っています。




オレンジ・マザーズデイはピークを過ぎたかな。






手前のピンクのバラは芳純。

スペクトラ

ストロベリー・アイス

ホワイト・クリスマス