アラン・ギルバート指揮の都響 ピアノ:イノン・バルナタン2016/01/31 15:39

昨日(1月30日)は池袋の芸術劇場で都響を聞いてきました。指揮はアラン・ギルバート。まずベートーヴェンのコリオラン。久々に聞く都響でしたが、弦が驚くほど透明な響きを出していました。弦5部が織りなす音のテクスチャーが明瞭に描き出されていきます。クリアなサウンドでコリオランの悲劇を描き出すってのも、なかなか面白い。この指揮者、かなり細部までよく突き詰めた音楽をするみたいだ。

2曲目はピアノのイノン・バルナタンを迎えて、ベートーヴェンの協奏曲第3番。コンチェルトという「娯楽作品」を、かなり真剣に追求してしまった作品ということになっているけど、ベートーヴェンの時代にはモーツァルト時代のような短調恐怖症候群のようなものはなくなってたんじゃないかな。まあともかく運命と同じハ短調。悲劇的な響きというよりは、ややもするとロマン派的な甘美な憂愁さえ聞こえてくるような演奏。バルナタンというピアニストはオーケストラと対話をするかのように、あるいは自分の右手と左手もそれぞれオケのパートであるかのように、全体の中に溶け込んでいく。美音を響かせるんだけど、これ見よがしに「ひけらかす」わけではなくて、時に管楽器のソロをそっとサポートして見せたりして、まるで室内楽をやっているみたいだ。第2楽章ラルゴの永遠に続くかと思えるほどのとりとめのない美しさはみごと。モーツァルトからの決別を宣言するかのように、第3楽章はかなり抑えたテンポで悠然と弾き進み、最後に輝かしいクライマックスを築いて終わりました。もうちょっとでロマン派に突入しちゃうかなって感じ。

後半は交響曲第7番。シャープが3つって調は弦がよく響きます。第1楽章の主部に入ったあたり、まあ輝かしい音の洪水。第2楽章の「不滅のアレグレット」はしっかり2拍子をキープして、心地よいテンポでグイグイ弾き進みます。ここでも弦5部のクリアな響きは際立っていました。ベートーヴェンが仕掛けた、特にリズムの絡み合いがとても明確に描き出されます。スケルツォは主部はかなり速め、トリオもゆったりと歌いながらもリズムの面白さを前面に出して、繰り返しのくどさを忘れさせる好演。第4楽章はそりゃもう、爆発ですよ。ティンパニが最後の一撃で皮を破ってしまったらしい。太鼓の皮が破れる音って生まれて初めて聞いたよ。



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一昨日の雨は結局10数ミリしか降らず、気温がさほど下がらなかったため雪にもなりませんでした。ほっと一安心。


今朝の屋上。ドピーカンです。

ザ・マッカートニー・ローズ

マダム・アルフレッド・カリエール

パレード

アリスター・ステラ・グレイの花と紅葉

オールド・ブラッシュ(夏の名残のバラ


ジュリアン

ミニバラが1輪だけ咲いています。


楽園の蕾がゆっくりと開きかけています。