ヨーデルまたは津軽『ホーハイ節』 ― 2013/06/26 16:45
しとしとと心地よく雨が降り続いています。水やりしなくてすむので大助かり。ただ芝生は伸びちゃいますね。
小さな花がたくさん咲くアリスター・ステラ・グレイ
全体像
蝶々
こりゃまたいかにもって感じのモンシロチョウ
クロチルド・スーペール(粉粧楼)。今年はよく咲きます。
クリムゾン・グローリー
芳純
雨が続いてちょっと花が痛んでいます。
ラ・フランス
オールド・ブラッシュ
オレンジ・マザーズデイ
パパメイアン
サハラ
今日は津軽「ホーハイ節」。津軽で古くから歌い継がれてきた盆踊り唄。一説には戦に敗れた津軽藩の祖、津軽為信の一行が疲労困憊して歩くのも困難になったとき、為信が兵士の士気を鼓舞するのに歌ったとか。さすがにあまりに馬鹿馬鹿しい説明なのでNHKでさえこの説は採っていません。
NHKのサイトでは「男女が求愛の唄を掛け合うもので、特色のある裏声の「ホーハイ」は、煽情的な黄色い叫び声の部分が民謡に歌詞として定着したものだと言われています。」となっていて、いわゆる歌垣の風習を伝えた民謡であるとの説明です。
ファルセット(裏声)をよく使うヨーデルでは、ファルセットは装飾的に使われます。小節の最初からファルセットで歌い始めることはありません。
ところが「ホーハイ節」ではかけ声の頭の「ホー」がファルセットで、「ハイ」が地声で歌われます。いろんな歌詞があって、しかもほとんど意味不明なんで困るんですが、代表的なのはこんなやつ。
あだご山ァ ホーハイ ホーハイ
ホーハイ デァ
高けでァ ナーエ
雲に届くまで
婆(ばば)の腰ァ ホーハイ ホーハイ
ホーハイ 曲がった ナーエー
稲の穂っコは アリャ 稔る
津軽富士 ホーハイ ホーハイ
ホーハイ 高い
名は岩木 アリャ 山よ
稲の花 ホーハイ ホーハイ
ホーハイ 白い
白い花 アリャ 稔る
青森県音楽資料保存協会というところのページではもっと突っ込んだ考察をしています。
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裏声を装飾音的に利用するヨーデルとは違い、ホーハイ節の場合は、強く声を張り上げるポイントに「裏声の奇妙な響き」が利用されていることから、こうしたところに、何か深い意味が隠されているのではないかといわれています。
歌詞も後にいろいろと作詞され、いろいろなバージョンがみられますが、共通しているのは「ホーハイ」という裏声を使う部分です。
「ホーイ・ホーイ」「ホイ・ホイ」などの呪術的な掛け声が全国にみられることから、「ホーハイ節」も、もともとは岩木山で歌われていた呪歌の「ホーハイ」の部分が、後に、民謡化していったのではないかといわれています。
ところで、日本の古代の呪術に「火開(ほうはい)、火開(ほうはい)」、あるいは「火拝(ほうはい)、火拝(ほうはい)」と言って、女性器をあらわにして、その女性器を火に見せる呪いがあるそうです。
かつての沖縄県では火事の際、女の人が自分の腰巻を手に取り、炎に向かって振るという風俗が見られたそうです。もとは、女性器を、火に向けるということだったようですが、公衆道徳の都合から「本物」のかわりに、「腰巻」が、その代役をつとめるようになったといわれています。
さて、女性器は、古語で「ホト」「ホ」などと呼ばれ、上述したとおり、「火」と非常に関係が深いものとされていました。
「ホト」とは、もともとは、火山のような「燃えたぎる炎」のことで「溶鉱炉」をも意味するものだといいます。神武天皇の妃、『ホトタタライスキ姫』の名に、「ホト(炉)」と「タタラ(製鉄)」との密接なつながりがうかがわれ、この姫の名から、この女性は「炎による鉄生産を司る民族の出自」を示しているのではないかともいわれています。後に、この姫の名前の「ホト」が、露骨に「女性器」を連想させるということから、「ヒメタタライスキヨリ姫」に改名されたということについては先の連載で触れました。
火山のような高熱の炎「ホト」が「女性器」の意味に転じていったのは、炎には様々なものを生み出す「女性原理」に共通するものがあったからだとされています。
_____________________(引用終わり)
まさに
筑波嶺(つくばね)の 峰より落つる 男女川(みなのがは)
恋(こひ)ぞつもりて 淵(ふち)となりぬる
の歌に通じる歌垣の風習、その現場で歌われた歌の名残なのではないでしょうか。
それでは「ホーハイ節」
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