5/20 『ドン・カルロ』@新国立劇場2021/05/21 16:16

昨日は二国でヴェルディの『ドン・カルロ』を見てきました。確か今のプロダクションの初演の年(2006年)に見て以来だと思います。

オリジナルのグランド・オペラ(フランス語)スタイルは全5幕ですが、二国ではその第1幕(フォンテーヌ・ブローのシーン)をまるごとカットして、いきなりサン・ジュスト修道院の場から始まる全4幕バージョンで上演しています。この方が劇的な重厚感があります。この重々しさってやつが、『ドン・カルロ』における政治・宗教の無慈悲な権力構造を全面に押し出す効果があります。一方パリのシーンから全曲やると、愛だ恋だと甘っちょろいお話が前提としてクローズアップされて、わかりやすくはなるけど、やや求心力にかける嫌いがでてくるのかもしれない。

マルコ・アルトゥーロ・マレッリの演出及び美術は重厚で無機質。舞台全体を4分割する巨大な岩が動いて、場面を描き出します。スタッフ&キャストおよびムービーはこちら。舞台写真はここ

幕が上がってすぐに男同士の二重唱「友情のテーマ」が歌われます。ドン・カルロのジュゼッペ・ジパリがやや立ち上がり不安定でしたが、ロドリーゴの髙田智宏は最初から絶好調。指揮のカリニャーニ、ゆったりとしたテンポ感ですが、引き締めるツボを心得ている。そしてエボリのアンナ・マリア・キウリはベテランの余裕で「ヴェールの歌」を明るく歌い上げておりました。第2幕後半の火刑の場は、群衆の迫力あるコーラス、火刑台に縛り付けられる「異端者」の表情、そしてフランドルからの使者の登場と、一大スペクタクルでございました。

一転して第3幕、国王の寝室の場。若い妻エリザベッタに愛されない悲哀を切々と歌うフェリペ。そこへ恐るべき異端審問官(宗教裁判官)現れ、無慈悲な対話が始まります。歴史に名高いSpanish Inquisitionでございますから、そりゃもう大変なもんでございます。国王が息子のドン・カルロを処刑することに、異端審問官はお墨付きを与え、さらに国王の腹心ロドリーゴまでも処刑するよう要求する。ここらへんの権力者同士のドロドロしたせめぎあいは、音楽的にはかなりの迫力でございました。バスの二重唱ってのもなかなかいいね。ステージの床に仕込んだフットライトが異端審問官登場の際に、顔を下から照らし出して、不気味さをいや増しに増しておりました。エリザベッタが登場し、エボリ、ロドリーゴが加わっての、各人各様の思いを秘めた四重唱はきれいなアンサンブルでした。エボリ公女は黒いアイパッチがトレードマークですが、舞台では良心の呵責から自らピンで右目を突きます。

エボリはさらに群衆の先頭に立って、牢獄に捕らえられているドン・カルロを解放します。ここにも異端審問官が現れて民衆の暴動を一喝で鎮めます。この場面はまだまだ宗教権力が世俗世界に強大な影響力を誇っていた時代を象徴するかのよう。

第4幕は再びサン・ジュスト修道院。エリザベッタがカルロを待っています。道ならぬ恋、天国でしか結ばれない虚しさ、そんなそんな気持ちを歌い上げるアリアは満場の拍手をかっさらって行きました。やがてドン・カルロがやってきてこの世での愛を諦めた男女の二重唱。とそこに国王フェリペと異端審問官が登場。カルロを逮捕しようとしますが、そこに地の底から湧き上がるような修道士の歌声。大塚博章という人だったようですが、よく響き渡る深い声が印象的でした。「心の争いは天上でのみ静まるであろう」と歌ってカルロを先王にして祖父であるカルロス5世の墓に引きずり込む。いやいや、重厚で見事な舞台でございました。


大変ですニャー2021/05/21 18:56

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ボランティアがバタバタ辞めてるんだろうねぇ。