新国立劇場 バレエ『ドン・キホーテ』2013/06/23 21:21

昨日(6月22日)は二国で『ドン・キホーテ』を見てきました。スタッフ&キャストはこちら。動画「3分でわかるバレエ『ドン・キホーテ』」はこちら

作曲者のレオン・ミンクスは19世紀前半に二重帝国に生まれて、主にペテルブルクのバレエのために作曲し、1917年にウィーンで亡くなった人。今で言うとマリインスキー・バレエの座付き作曲家といったところでしょうか。時代と生まれた土地の風土からも想像できますが、この『ドン・キホーテ』というバレエ、全編3拍子のリズムが鳴り響きます。妖艶なワルツ、軽快なワルツ、優雅なワルツ、そしてちょっと古めかしいメヌエットやポロネーズ。ミンクスにはポーランドの血も入っていたそうです。そして何よりもボレロ、フラメンコ、ファンダンゴの3拍子。

バルセロナが舞台ですから、カタルーニャ賛歌を地でいくような、とにかく陽気な舞台。華やかな街の情景、恋のさや当てはないんですが、親の反対を押し切って結婚しようとするキトリとバジル。キトリをドゥルシネア姫と思いこんで二人の仲立ちをするドン・キホーテ。

バルサの居酒屋、ジプシーのキャラバン、森の妖精・・・バレエのあらゆる要素が詰め込まれた楽しい舞台でした。キトリを踊ったぽっちゃりとした丸顔の米沢、見かけに似合わず、切れのいい踊りを見せてくれました。第3幕の32回転も安定した踊り。第1幕のタンバリンやカスタネットの踊りも楽しませてくれました。

バジルの福岡も安定したダンス。いささかエスコート役に徹しすぎた感もありますが、とても落ち着いた踊りでした。もうちょっとスケールを大きく見せられたら華やかなんですが。ドン・キホーテの山本はコミカルで渋い役どころを地味に見せていました。サンチョの吉本はなかなか楽しかったね。あと闘牛士なのかな(?)エスパーダのトレウバエフがみごとなダンスを見せてくれました。その他、バルサの街中の人々、酒場の人々、ジプシーや妖精の群舞も見応えありました。

そして、その大勢の人々をみごとに統率した指揮者のアレクセイ・バクランと、東フィルの演奏にも盛大な拍手が起こっていました。でもたった4回の公演が、全部2時始まりのマチネっていうのはどういうわけだ。肉体的にも精神的にも昼間から芝居や音楽に浸る生活をしているわけじゃないんで、昼過ぎに小屋に出かけるってのは生理的にもかなり辛い。やっぱり真っ昼間の公演は歌舞伎座と同じで、客の年齢層が高いねぇ。世の中バレエを見たいのはジジババばっかりじゃないと思うんだが。