1/29 新国立劇場 『さまよえるオランダ人』2022/01/30 10:27

昨日(1月29日)は二国でワーグナーの『さまよえるオランダ人』を見てきました。スタッフ&キャストなどはここ。舞台写真はこちら

年末年始にかけてのコロナ蔓延で、この上演でも大幅にキャストが入れ替わり、指揮者もガエタノ・デスピノーサに変更されています。この人、11月頃に来日したらしいんですが、N響の定期を2回聞きました。1度目はシェーンベルクの『浄められた夜』、2回目は『展覧会の絵』。いずれもなかなかの名演だったと思います。ですが、オペラとなると一筋縄ではいかない。まず立ち上がりから金管がとんでもなく不調で、全体にフニャフニャした音楽。一体どうしたんだろうと思う間もなく睡魔に襲われました。体は正直ですね。時々起きて舞台に集中しようとするんですが、またもや寝落ち。第2幕も同様。ところが、第3幕だけはやけに引き締った演奏で、グイグイ引き込まれました。

まず、オランダ人の魅力がない。数年前にテレビで無理やり主役を演じた『白い巨塔』の財前がいましたが、あれみたいで全く役に合っていない。ブカブカの服を着て、精一杯大物を演じようとしているんだけど、話にならない。だいたいノルウェイ船の船長(ダーラント)の方が威厳のある舞台って何なのさ。第2幕ゼンタが登場していくらか持ち直したかなって気がしないでもなかったけど、舞台全体の軽さは如何ともし難い。

第3幕はテンポ感も上々でキビキビと進んだんじゃないかと思います。全体的にオランダ人が舞台を台無しにして、『オランダ人』という人物に対して人々が抱く恐怖感、威圧感、そんなものを微塵も感じさせない小物感がすべてを上回ってしまった、そんな上演。これはミスキャスト。デスピノーサはこの数ヶ月で何年分もの経験をしたんじゃないかな。聞くところによると、二国では来月の『愛の妙薬』も振るんだそうだ。その後もスペイン国立管弦楽団の来日公演が中止になって、その代わりに反田恭平のジャパン・ナショナル・オーケストラを指揮して、ショパンのコンチェルトやら村治佳織の『アランフェス』なんかを振ることになったそうだ。コロナ様様と言ったら語弊があるかもしれないけど、またとないチャンスを掴んだみたい。


オランダ人第3幕から水夫の合唱。カラヤンの指揮です。

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