新国立劇場 『ファルスタッフ』2018/12/16 20:48

昨日(12月15日)は二国で『ファルスタッフ』を見てきました。ジョナサン・ミラー演出の定評ある舞台。プルミエは2004年で、2007年、2015年、そして今回と再演されています。たぶん全部見ていると思いますが、それぞれに出演者も指揮者も異なり、趣も様々。今回の上演は、スタッフが粒選り。みごとなアンサンブルを聴かせてくれました。スタッフ&キャストはこちら。ダイジェストの映像などもあります。舞台写真はここ。美しい舞台装置です。

イタリア語でファルスタッフ、英語でフォールスタッフ。太鼓腹でゲスで女好きな騎士ジョン。もともとシェイクスピアでは『ヘンリー四世』に王子(後のヘンリー五世)の悪友として登場していたわけですが、このキャラをいたく気に入った女王エリザベス一世がシェイクスピアにもう一丁芝居を書かせて、出来上がったのが『ウィンザーの陽気な女房たち』。登場人物は主人公のファルスタッフ以外は、すべて市井の人々。要するにブルジョワジー。16〜17世紀のイギリスには一般家庭の様子をうかがい知ることができる絵画が残されていないんだそうで、ジョナサン・ミラーは同じ時代のフランドルの絵画から、部屋の様子、衣装などを借用してみごとな舞台を作り上げました。舞台写真の【7】なんか、誰かさんの絵から抜け出してきたようなポーズ。同じく【8】の右奥にはやはり超有名な絵の中に登場するヴァージナルが置いてあって、ナンネッタが鍵盤にもたれかかってアンニュイなポーズを決めて見せたりと、至る所に楽しい仕掛けが施してあります。

アリーチェを歌ったエヴァ・メイと掲題役のロベルト・デ・カンディアのインタビューがありました。



言い寄られた女性たち、つまり、アリーチェとメグのファルスタッフに対する滑稽な意趣返しのドラマとして演じられることが多いんですが、インタビューにもあったように、ボロを着てても心は錦って感じの没落貴族の高貴な心にどこか惹かれるところもあったのかもしれない。そういわれてみればエヴァ・メイ演じるアリーチェも言い寄られてまんざらでもないような雰囲気もありました。

出演者はまずもってファルスタッフのロベルト・デ・カンディアが幕開きの第一声から絶好調。2人のごろつきも楽しい。エヴァ・メイは風邪を引いていたそうですが、無理に声を張り上げず、返って力が抜けて自然な歌い回しが良かったと思います。女声陣の中ではクイックリー夫人のエンケレイダ・シュコーザの演技が光りました。さらにナンネッタの幸田浩子も澄んだ歌声を聞かせてくれました。男声ではフォードのマッティア・オリヴィエーリが立派な声で男の嫉妬を歌い上げていましたねぇ。カイウスやフェントンなどもなかなか達者に見せて、聴かせてくれました。幕切れ、ファルスタッフの「この世はすべて冗談」の一言から始まる沸き立つような10人のアンサンブル、そして合唱も加わっての大団円。劇場はブラボーが飛び交って、久々に楽しい上演を見せてもらいました。

最後にカルロ・リッツィという指揮者、なかなかのベテランらしいけど、ヴェルディが仕込んだ様々な音楽的仕掛けを楽しく響かせ、東フィルからみごとな音を引き出していたと思います。いい指揮者だ。



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このところ寒い日が続きます。しかも昨日は冷たい北風がビュービュー吹いていました。昨日は最低気温3.9℃、最高気温9.8℃。今日は最低気温1.1℃、最高気温5.8℃と真冬並みの寒さになっています。今日はどんよりとした曇り空だったので、写真は昨日撮ったものです。


昨日は北風が吹いてドピーカンでした。




モミジなんですが・・・

今年はあまり美しくない。赤くならずに茶色くなって散ってしまいます。





アンナプルナ

香りの言いバラです。

ザ・マッカートニー・ローズ

ニコル

パレード


ストロベリー・アイス




スミレ

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