5/26 読響 周防亮介 ユライ・ヴァルチュハ2024/05/26 22:19

今日はホントに久しぶりに池袋で読響を聞いてきました。ユライ・ヴァルチュハという人が新しく首席客演指揮者になって、そのお披露目公演だったそうです。最初の曲目はリャードフの「魔法にかけられた湖」という6分ほどの小品。リャードフはリムスキー=コルサコフの跡を継いでモスクワ音楽院のセンセをしていたそうですが、長編を書くのが苦手でこの6分ほどの短い曲が名作とされています。曲は澄み渡った弦のトレモロに始まって、後半にやや盛り上がりがあるかな、そうでもなかったかなってな感じで進んでいきます。印象派でもなく、同時代のスクリャービンのような熱い心の内を秘めた感じでもなく、なんとも清らかな音楽ですが、それこそ印象には残らないなぁ。でも美しいかったのは確か。

さてさて、2曲目がすごかったのよぉ。ヴァイオリンの周防亮介を独奏者に迎えて、ハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲。私は寡聞にしてこのヴァイオリニストを知らなかったんだけど、凄かったんです。第1楽章のG線で奏でる冒頭の主題からしてど迫力。叙情的な第2主題のオケとの絡みも絶妙。第2楽章の民族的な哀愁も素晴らしい。第3楽章のロンド風の主題もハッチャケて、一気呵成にフィナーレまで疾走。このヴァイオリニストすごいよ。オケも14型で普通ならヴァイオリンを圧倒する音量で迫ってくるはずなんだけど、どういうわけか圧倒的なオケの音量の中からビンと張ったヴァイオリンの音色が突き抜けて響いてくる。こんな体験は久しくないなぁ。

ハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲。ヴァイオリン独奏セルゲイ・ハチャトゥリアン。

後半はチャイコフスキーの『悲愴』。聞き慣れすぎた曲ではありますが、ヴァルチュハという指揮者、オケをポジティフにコントロールするタイプのようで、繊細なニュアンスを表現するために細かな指示を送るというよりは、オケを気持ちよくドライブさせる感じ。第1楽章の展開部の入の一発とか、第2楽章の5拍子のワルツとか、最終楽章の盛り上がりとか、とにかくオケを極限まで鳴らしきった感じがしました。これはこれで、なんか希望を抱かせる指揮者なのかなって思います。