新国立劇場 リヒャルト・シュトラウス『ばらの騎士』 ― 2015/05/28 13:08
昨日(5月27日)は二国の『ばらの騎士』を見てきました。ジョナサン・ミラー演出の美しい舞台。幕が開くと下手側から朝日が差し込んでいる寝室。いきなり衣衣の別れでございますよ。設定によるとマルシャリン(元帥夫人)32歳、オクタヴィアン17歳。こりゃ下手すると淫行行為でタイーホになりかねない。でもまあ、音楽が美しければいいということなんですニャー。
二国の舞台にかかるのは今回で3度目。初演の時はまあまあだったかな。エレーナ・ツィトコーワのオクタヴィアンがちょっと大根で、臭い演技だったかな。2回目はあの2011年の4月。折しもジャパン・エクソダスの最中で、マルシャリンとオックス以外は指揮者までいなくなってしまった状況で、よく幕が上がったなぁ。アンダーの歌手を揃えてちょっと小粒感は否めませんでしたが、でもよくやったなぁっていう上演。
今回は「ここはウィーンか?」と言いたくなるほどすばらしい出来でした。先週の『椿姫』もよかったけど、今回の『ばら』は映像に残して世界に発信したいくらいの舞台。舞台写真はここ。スタッフ&キャストなどはこちら。
マルシャリンのアンネ・シュヴァーネヴィルムスは冒頭やや固さが残る声でしたが、1幕の終盤から調子が上がってきて、3幕のトリオでは絶妙な歌を聴かせてくれました。マルシャリンは歌もさることながら、半分は容姿が決め手の役。申し分のない立ち姿(と寝姿)でございました。オクタヴィアンのステファニー・アタナソフという人、初めて聞く名前ですが、これがなかなか良い。宝塚のようなズボン役がぴったりはまって、それが女装して、また男に戻ってと、クラクラするような役どころを見事にこなしていました。うん、演技として貴族的な身のこなしが実に自然で、鼻につかない。
ゾフィーのアンケ・ブリーゲルはこれが当たり役だそうですが、うん、イイね。銀のバラの贈呈シーンでオクタヴィアンと目と目がバチバチっとスパークする瞬間。あそこがこの芝居の一つの山場だと思うんですが、大げさじゃないんだけど、町人貴族の気位が一瞬にして崩壊し、一人の娘の表情になってしまう姿がみごと。おとっつぁんのファーニナルも立派な声でした。
そしてこの日の主役はなんと、オックス男爵のユルゲン・リン。いやあ、深くて、艶があって、色気たっぷりのバスの響きを久しぶりに堪能しました。確かにこの芝居のテーマは「女の老い」なんでしょうけど、貴族の血の馬鹿さ加減をおもしろおかしく演じるのも、もう一つの見せ場。『指環』でアルベリヒを歌っていた人だそうですが、その時には余り印象に残っていない。まあ、あれは舞台・演出がトンデモないゲテモノだったということもありますが。今回のオックスは凄かったねぇ。
指揮のシュテファン・ショルテスは情緒纏綿たる音楽を、極上のトカイで和えて、甘ーくとろけるような極上のサウンドに仕上げておりました。至る所に立ち現れる優雅なワルツの調べ。これぞまさにウィーンの情緒と言っていいんじゃないでしょうか。東フィルもみごとな演奏だったと思います。
これで2014−15シーズンのオペラはおしまい。来月の『白鳥の湖』でバレエも終わりになります。かくして音楽会は早くも夏休みムード。
銀のバラ贈呈シーン。
アンネ・ゾフィー・フォン・オッターのオクタヴィアン、ナタリー・ドゥセのゾフィー。
ほとんど伝説の域にある1960年、ザルツブルクの『ばら』。カラヤン指揮、アンネリーゼ・ローテンベルガーのゾフィー、セナ・ユリナッチのオクタヴィアン。オクタヴィアンが登場するのは3分10秒あたり。ここには出てきませんが、マルシャリンはエリーザベト・シュヴァルツコップフ。
実はこの時マルシャリンはリーザ・デラ・カーザとダブルキャストだったそうですが、映像に残っているのはシュヴァルツコップフの方だけです。これは彼女の旦那がDECCAのプロデューサー、ウォルター・レッグだったってことと関係しているのかどうか・・・声も立ち姿もデラ・カーザのほうが遙かに美しいと思うんですが、どうでしょう。
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今日はこの数日ほどの暑さではありません。それでも現在26℃ぐらいかな。午前中は涼しかったんでバラに薬を撒いてきました。
クリムゾン・グローリーとアンナプルナ(白)
マダム・アルフレッド・カリエールの2番花
ドゥフトヴォルケ
マルコ・ポーロ
芳純
白いオダマキ
カワラナデシコ
ラ・フランス(ピンク)とパパ・メイアン
パパ・メイアン。2番花にしてはいい形です。
プランセス・ド・モナコ
スペクトラ
2番花が満開です。
ストロベリー・アイス
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