12/8 大野和士指揮の都響でシューマンの4番他@東京芸術劇場 ― 2023/12/08 21:13
久々にオーケストラの演奏会に行ってきました。平日のマチネでしたが客席は8割方埋まっていたような。つい2週間前にも二国で『シモン・ボッカネグラ』を振っていた大野が、手兵の都響を率いてシューマンをやるというので一回券を買いました。
今年はマックス・レーガーとラフマニノフの生誕150年記念の年なんだそうだ。それにちなんでまずレーガーの『ベックリンによる4つの音詩』。もちろん初めて聞く曲でしたが、まあまあ聞きやすいロマン派の音楽でした。アルノルト・ベックリンの4つの絵画に基づく印象を表現したんだそうだが、第1曲「ヴァイオリンを弾く隠者(Der geigende Eremit)」は穏やかなオーケストラの響きを背景に独奏ヴァイオリンが静かにメロディーを奏でる静謐な曲。第2曲、「波間の戯れ(Im Spiel der Wellen)」はスケルツォ風の速い楽章で、トリトンとニンファの戯れる様子を表しているんだそうだ。第3曲は「死の島(Die Toteninsel)」。死者の魂が手漕ぎのボートに乗って小島へと向かう情景を描いたもの。第4曲は「バッカナール(Bacchanal)」。バッカスの信女の馬鹿騒ぎが題材になっているそうだ。ちょっと時代を先取りしたショスタコーヴィチのようなリズム感や和声が、モダンな雰囲気を醸し出しておりました。大野の指揮は最終楽章の盛り上げ方がうまかったね。
次にニコライ・ルガンスキーをソリストに迎えて、ラフマニノフのピアノ協奏曲第1番。2番と3番はもうよい下がれってくらい演奏されますが、1番は滅多にコンサートにかからないですねぇ。2番、3番に比べると旋律がやや地味かな。涙ちょちょぎれの名旋律が聞こえてくるわけではなく、さりとてピアノはやたらと難しそう。ソリストにとってはちょっと報われない曲かもしれませんが、でもロシアの大地を思わせる深い郷愁がそこかしこから聞こえてくる味わい深い演奏でした。
後半はシューマンの4番。最初は2番目に作曲された交響曲だったんですが、10年後に改定して、これが世の中に広まったという経緯があるので、番号としては4番。大野の指揮は端正な中にもアゴーキクを効かせて雄大な音楽を形作っておりました。第2楽章のオーボエとチェロは美しかったねぇ。ダイナミックなスケルツォから第4楽章に入るあたり、なかなか盛り上がっておりました。
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本日もドピーカン。気温は17.4℃まで上がって、昼間は上着がいらない陽気でした。
ラ・フランス
ミニバラ
レディ・ヒリンドン
シューマンの交響曲第4番。バーンスタイン指揮のウィーンフィル。悠揚迫らぬ雄大な演奏です。
パーヴォ・ヤルヴィ指揮のドイツ・カンマーフィル。引き締まった硬質のシューマン。
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