メメルスドルフ2013/02/15 17:14

冷たい雨が降っています。でも雪にはなりそうもない。現在の気温2.6℃。

写真は昨日撮ったもの。

クロチルド・スーペールのつぼみ。


水仙が咲いています。もう10年はほったらかしの球根。しぶとく残っています。

フレグラント・アプリコット

ヒナソウ

ラ・フランス

ザ・マッカートニー・ローズのつぼみ。

バラの新芽



ホワイト・クリスマスのつぼみ。

何となくサクサクッとしたシャーベットみたい。

イエロー・シンプリシティ



メメルスドルフは確かアルゼンチン出身のリコーダー奏者。名人です。チェンバロのシュタイアーとやった一曲。

ところが最近はほとんど笛を吹いていないみたいで(?)、もっぱらアルス・ノーヴァの専門家ということで、バンマスに専念しているみたいです。アルス・ノーヴァの中でも、14世紀から15世紀にかけてメチャクチャ複雑で技巧的な音楽に進化した(?)、いわゆるアルス・スブティリオルというやつのエキスパートということになっているらしい。

ファエンツァ写本2013/02/16 15:46

屋上の椅子とテーブルを新調しました。前のはちょうど10年使って、そろそろがたが来たところ。でも固い南洋材だから雨ざらしで10年もつんですねぇ。買い換えるにあたって、金属製のもちょっと頭をよぎったんですが、夏の暑さ、冬の寒さを考えるとやっぱり木がいいかなと。

日差しはたっぷりですが、気温は4℃。9メートルの風が吹きすさぶ寒い一日。

椅子は折りたたみ式、テーブルは足をボルト8本で止めるだけの、簡単組み立て。前のよりちょっと頑丈な感じかな?

以前のはこんなやつ。

真昼の月

チューリップの芽

やっとクロッカスが咲きました。北側の一番日当たりのいいレンガのそばから咲き始めました。

平年より2週間以上遅い開花。



昨日に続いて、アルス・スブティリオルの音楽。今日は有名な『ファエンツァ写本』から。ものすごく技巧的な器楽曲の曲集ですが、これと当時の単旋律聖歌とを合わせて、メメルスドルフが独特なファンタジーの世界を作っています。

東京芸術劇場シアターオペラvol.6:『カルメン』2013/02/18 16:22

昨日(2月17日)は芸術劇場でビゼーの『カルメン』を見てきました。先週の『愛の妙薬』に続いて、今回もマチネ。

スタッフ&キャストは以下の通り。

出演
カルメン(ジプシーの女、レジスタンス):ジュゼッピーナ・ピウンティ
ドン・ホセ(混血の伍長):ロザリオ・ラ・スピナ
エスカミーリョ(闘牛士):ダニエル・スメギ
ミカエラ(現地人の娘):小川 里美
スニガ(現地人の将校):ジョン・ハオ
モラレス(現地人の伍長):三塚 至
フラスキータ(レジスタンスの女):鷲尾麻衣
メルセデス(レジスタンスの女):鳥木弥生
ダンカイロ(レジスタンス):晴 雅彦
レメンタード(レジスタンス):ジョン・健・ヌッツォ

指揮:井上道義
管弦楽:オーケストラ・アンサンブル金沢 
コーラス:武蔵野音楽大学(合唱指導:横山修司)
児童合唱:世田谷ジュニア合唱団(児童合唱指揮:掛江みどり)

振付:中村恩恵(コンテンポラリーダンス) 他
演出:茂山あきら

よくわからない「5都市共同制作公演」と銘打ったもので、地方によって出演者やオケもまちまち。共同というのは演出のコンセプトが一つになっているってことなんでしょう。多分。

まずコンサートホールのオペラですから、本格的なものとは全然条件が違います。そこを逆手にとって何かやりたいと思っていたみたいです、演出家は。茂山あきらという狂言師(←面白い職業だ)が演出をしていたらしいんですが、最近はやりの読み替えをやりたかったんでしょう。まず舞台はスペイン植民地時代のフィリピンのマニラ。そこにジプシーのカルメンが流れてくる。闘牛士のエスカミーリョも流れてくる。ドン・ホセはスペインとフィリピンの混血。密輸団の代わりはフィリピンのレジスタンス。要するにフィリピンのレジスタンスのメンバーにはジプシーが混じっているのだ。ミカエラはフィリピン人。

それで言葉は日本語とフランス語がチャンポン。合唱は主に日本語で歌い、カルメンやホセ、エスカミーリョはフランス語で歌う。その他の登場人物は歌はフランス語、台詞は日本語だったりといった具合に、適当にやっています。字幕はフランス語はもちろん日本語の部分も映し出す。で、なかなか独特な字幕翻訳。エスカミーリョがホセに向かって「お前がカルメンの元カレか」と歌い、カルメンは「うざってぇんだよ」とホセを怒鳴りつける。ここらへんがきっと演出家狂言師の面目躍如たるところ。つまり演出家は、日本語もフランス語も違和感なく飛び交うような状況を作り出したかった。それがこの珍奇な時代と場所の設定だったわけです。

演奏会場という制約があるため、場面転換などは一切なし。ステージ上には最初から第4幕のしつらえがしてあり、オケは舞台の手前客席を4列ぐらい取り払って、10編成ほどのこぢんまりとした規模で演奏。舞台の中心に丸い演台があって、主な登場人物はそこに乗ったり降りたりして歌い演技します。演台を取り囲むように半円形に合唱団席が設けられていて、児童合唱を含め100人ほどが乗っています。合唱は舞台中央には関わらず、自分の席で立ち上がったり、時に身を乗り出したりして、演台上の出来事を囃したてるかのように歌います。

これがちょっと違和感ありあり。第1幕の街中の喧噪、第2幕の酒場の乱痴気騒ぎのような華やいだ場面でも、群衆はあくまでも蚊帳の外から煽り立てるだけで、絶対に芝居には参加しない。ギリシャ悲劇のコロスのような役回りに徹します。なぜ、そうしなきゃならないのか。その意味は明かされません。ただし、第4幕の闘牛場のシーンではこれがすごく効果的でした。しかもトロンボーンをオルガンのバルコニーに持って来て、闘牛場内の歓声と、外のカルメンとホセの諍いとのコントラストをみごとに表現していたと思います。

カルメンのジュゼッピーナ・ピウンティが圧倒的な歌唱力と美貌で満場の喝采を浴びていました。ホセのロザリオ・ラ・スピナという人、プロフィールによると:

「黄金の声」、「オーストラリアのパヴァロッティ」と渾名される美声の持ち主で、ドラマティックな役作りには定評がある。 

んだそうですが、確かにパヴァロッティの再来と思わせたのは胴の太さ、足の太さ、背の低さ故か。太股がピウンティのウェストぐらいあったな。このところ相撲取りのようなテナーがよく登場するんだけど、昨日のは極め付けだったかもしれない。なるべく姿を見ないで声だけ聞くようにはしていたんですが・・・

エスカミーリョのダニエル・スメギはミスキャスト。声の質がちょっと違いすぎて、残念でした。かと言って、かつてのようなワーグナー歌手の声質かというとちょっと頭をかしげてしまう。どうしたんだろう。ミカエラの小川里美細かなビブラートがきつい気はしましたが、立派に歌って観客を魅了。

初めて聞く井上ミッキー指揮のオーケストラ・アンサンブル金沢は、歯切れのいい音楽をやっていました。間奏曲のフルート、なかなかよかったよ。

それから時々ダンサーが出てきて、なんだか登場人物の心理描写みたいな踊りというのか、振りというのか、仕草を見せるんですが、あれはいらない。芝居の台詞じゃないが、「うぜえんだよ」。それよりちゃんとフラメンコが踊れるダンサーを一人使った方がずっと面白かったはず。群衆の使い方や児童合唱団のものすごく無個性な行進など、狂言師演出家がちょっとシュールなものをやりたかったのかもしれません。

ルイス・デルガド2013/02/19 23:09

寒い寒い一日。昼間はちょこっと雪もちらつきました。

春の花がようやく咲き始めました。












イエロー・シンプリシティは花が残り少なくなりました。



今日はカンティガやムデハルの音楽には欠かせない、ルイス・デルガドの演奏。ウードなどの弦楽器とフレーム・ドラムなどの打楽器を演奏する人ですが、シンセの腕前もすごい人。今日はライブを二つ。まずムデハル(イベリア半島残留のイスラム)の音楽。

次にセーサル・カラソと組んだデュエットの演奏。なかなか楽しい演奏です。ハーディ・ガーディも弾いています。「オデュッセウスの漂流譚」でしょうか、地中海の伝統音楽と説明されています。マドリーのエスパシオ・ロンダっていうライブハウス(?)での演奏らしい。

新国立劇場:バレエ『ジゼル』2013/02/21 15:46

昨日(2月20日)は二国でアダンの『ジゼル』を見てきました。ダイジェストのムービーはこちら。スタッフ&キャストはここ

やっぱりソワレのほうがお客さん多いですね。比べても 意味ないことですが、先日の『愛の妙薬』の平日マチネはずいぶん空席が目立ちましたけど、昨日のソワレは9割以上入っていたんじゃないでしょうか。

やけに有名なバレエなのに、実演を見るのは初めて。前評判もなかなか良かったので楽しみにしていたんですが、期待を裏切らないすばらしい舞台でした。ストーリーとしてはある意味盛り上がりに欠けるところがありますが、それはそれ、幻想的なバレエということで、質の異なる面白さがあったと思います。第一幕と第二幕でまったく雰囲気が変わってしまうのも見どころの一つなのかもしれません。

第一幕では村人・村娘の群舞が見どころ。ブドウの収穫祭ということで、賑やかな踊りが繰り広げられます。ストーリーの展開とは全く無関係ながら、米沢唯と福田圭吾が踊った村人のパ・ド・ドゥはなかなか見応えがありましが。が、二回転ジャンプっていうのは、スケート靴を履いていないと、人間の限界に近いのかなぁ。福田の回転不足がちょっと目立ちました。米沢もきれいなダンスですが、柔軟性がイマイチなのかな? 足を振り上げて、一回停止してから「どっこいしょ」って感じで頭の上まで上げる仕草が、ちょっと優雅さに欠けます。ワルツからポルカ・ガロップへの群舞はすばらしい高揚感がありました。そしてガロップの最後の一音が突然短調になって・・・

第二幕は狂乱のうちに死んだジゼルが精霊となって踊ります。結婚前に命を落とした若い娘たちの霊がウィリという精霊となって、夜ごと森の中で踊り狂うという一幕。12人ずつ左右二群のウィリの群舞はホントに一糸乱れず、幻想的なシーンを見せてくれました。群舞の最中に2回にわたって客席から盛大な拍手が湧き起こりました。12人の群舞にそれぞれ頭が一人ずついて、されにウィリ全体のリーダーであるミルタを加えて総勢27人のコール・ド・バレエですが、まあ美しかったこと。それぞれの頭やリーダーが毅然として群舞を統率する姿も、見ていて寒気を覚えるほどみごと。ここは若くして死んだ娘一人一人の怨念がこもった踊りですから、一切笑顔を見せない。全員が怒り狂ったように踊ります。そして、墓参りにやって来たハンスを取り囲んで、全員が猛烈なスピードで回転。あのハンスを踊り殺す場面は迫力がありました。

そしていよいよアルベルトの番。一幕の農民のパ・ド・ドゥとは違って、さすがにゲストダンサー。ワディム・ムンタギロフの体の線がきれいです。そして、二回転ジャンプですがこれもきれい。空中で二回完全に回っているように見えます。でも、よく見ていると、ジャンプの始めに45度ぐらい左に向いたところで踏み切っています。そうすると、着地したときにぴったり客席に向きます。ちょっとずるいのかもしれませんが、見た目は遙かにこちらの方がきれいです。ジゼルのダリア・クリメントヴァの踊りも優雅でかつ切れ味抜群。古典バレエの真骨頂。ほとんど重力を感じさせない踊りです。

音楽についてはあまり語りたくない。演奏がいいとか悪いとかいう以前に、音楽自体があまりにも下らないからです。よくもまあこんな作品が今まで残ってきたもんだと、びっくりするほどつまらない音楽。それを補って余りある、バレエの美しさこそがこの作品の魅力なんでしょう。