4/3マチェイ・スクシェチュコフスキ チェンバロ・リサイタル@フィリアホール ― 2024/04/04 16:12
昨日(4月3日)は青葉台のフィリアホールまで出かけてマチェイ・スクシェチュコフスキという人のチェンバロを聞いてきました。なんでも去年のブルージュ古楽コンクール・チェンバロ部門の優勝者なんだそうだ。
この日はフランス物ばかりのプログラム。まずは小手調べのシャンボニエールのパヴァーヌ「神々の話」。クラヴサン曲集第1巻第5オルドルの冒頭を飾る堂々たる一曲。最初の一音から典雅なフランス・クラヴサンの世界に引き込まれる。この人は時間の感じ方が独特な気がする。音数の少ない曲でありながらも、決して物足りなさを感じさせない優雅な響きを織りなしていく。
2曲目はルイ・クープランの組曲。ト調の組曲としてノン・ムジュレのプレリュード、アルマンド、クーラント2曲、サラバンドを3曲(内1曲はシャンボニエールのクラヴサン曲集第1巻第5オルドルより)、最後に「シャコンヌあるいはパッサカイユ」と題されたト短調の曲。ノン・ムジュレのプレリュードは中間部で拍子のあるフーガになりひとしきり展開されたあと、また拍節のない部分になるタイプの曲。悠揚迫らぬノン・ムジュレとかなり厳格なフーガの対比、そしてまたしみじみと聞かせる無拍節のパートが交互に現れて両者の対比が面白い。アルマンド、クーラント、サラバンドの舞曲は、異なるリズムをしっかりと捉えた上で、更に装飾の面白さ、自在なテンポのゆらぎが幸せな時間を紡ぎ出していく。「シャコンヌあるいはパッサカイユ」は堂々とした3拍子の変奏曲。ルイ・クープランのこの形式の曲はいずれもかなり手の込んだ変奏を繰り広げるんですが、この曲もなかなか見事な変奏でした。
次にダングルベール。リュリの『アルミード』の中のパッサカリアをチェンバロ用に編曲したものらしい。いわゆるフランス風の華麗な装飾の様式を、これでもかってくらいに盛り込んだ一曲。リュリのオペラを彷彿とさせる演奏でした。
前半の4曲目はラモーの新クラヴサン曲集から組曲第1番イ短調。この時代まで来るといわゆる近代和声が確立され、フランスらしさを保ちながらもバッハ風の厳格な対位法までも連想される様式になってきます。マチェイはかなりのスピードでバリバリ弾き進んでいきますが、どの一音たりとも明瞭に打鍵され、曖昧なフレーズが皆無。ラモーの音楽のすべてが明らかにされ、明確で正確無比な演奏を繰り広げます。そして一番大事なこと、その音楽が生き生きと呼吸している。「3つの手」や「ファンファリネット」、「意気揚々」などの表題が付いた曲の鮮烈な高揚感。いやあお見事。ここまでが前半。一度も立ち上がらず、黙々と弾き続けることちょうど1時間。
後半の最初はフォルクレのクラヴサン組曲第3番ニ長調。親父さんの曲を、オリジナルのヴィオール用に出版し、さらに同じ曲をクラヴサン用に編曲して倅が出版したと伝わっています。フランス・クラヴサン音楽の頂点とも言える曲集。これもいい演奏でしたねぇ。舞曲の形式は放棄されて、もはや人物のポルトレ(ポートレート)ばかりが並ぶ曲集ですが、当時の人は当然のように理解できた人物像を、あれこれ想像しながら聞くのも一興。マチェイの演奏はそんな想像を喚起してくれる楽しさがありました。
最後にデュフリのクラヴサン曲集第3巻から、「レ・グラース(三美神)」、「ラ・フォルクレ」、シャコンヌ。フランス・クラヴサン音楽の掉尾をかざるデュフリ。優雅なロココの時代を代表する三美神。ラ・フォルクレは親父さんの方のポルトレでしょうか。感情の起伏に富んだ一曲でした。最後に堂々たるシャコンヌ。いやあ青葉台なんて初めての場所でしたが、ホントに行ってよかった。
田園都市線は主に川崎のあたりを走っているのかと思っていたら、青葉台って横浜市青葉区なんですね。このあたり川崎と横浜と東京の町田市が入り組んでいるらしく、土地勘のない人にはまるでチンプンカンプン。青葉台からちょっと西に行くとまた東京都町田市になるらしい。
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昨日も一日雨でしたが、今日も天気ははっきりせず。朝のうちちょっと降りましたが、1日中どんよりとした曇り空。気温は19℃ぐらい。
かなり遅いんですが、やっと芝生が緑になってきました。
ツツジの蕾
オールド・ブラッシュ
先日モミジの枝を払ったんですが、もう新芽が動き始めています。
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