トン・コープマン チェンバロ・リサイタル@所沢ミューズ2023/02/20 11:14

コロナが流行りだしてから2回ぐらい来日中止になったかな。ほんとに久々のトン・コープマンです。チェンバロのソロを聞くのはひょっとしたら20年ぶりぐらいかもしれません。カザルスホールや津田ホールがなくなって、室内楽の演奏会場が少なくなっていますね。

当然といえばそれまで。
薄めとはいえ、かつては髪の毛もあったんですが…


現在はこんな感じ。77か78歳かな。

正装というのか、マチネでしたからタキシードにブラックタイ。近頃オーケストラの指揮者でもかなりラフな格好をしていることが多いですが、本当に珍しい。

曲目はまずバッハのパルティータ第3番イ短調。比較的短いファンタジアの後アルマンド、クーラントと通常の組曲が続き、ブルレスカ、スケルツォという変わった楽章が付いています。いつものように短めのアーティキュレーションでグイグイ弾き進んでいくスタイルは今回も健在。次にバッハの平均律から第2巻の1番、5番、6番9番、15番。堂々とした第1番にから、ニ長調、ニ短調を演奏し、明るいホ長調に続いてト長調で締めるという、なかなか考えた配列。前奏曲+フーガの様々な魅力をコンパクトに聞かせてくれました。ニ短調の前奏曲あたりからかなりのめり込んだタッチになってきました。

後半はフローベルガーが2曲。トッカータの第2番と『ブランクロシュ氏に捧げるトンボー』。トッカータの急激なスケールに続くフーガ風の楽想。鮮やかな対比と調和でございました。トンボーはゆっくりとした曲調ながら、時に感情の高まりをダイナミックに表現し、最後の階段落ちの部分ではしっとりと落ち着いた弾き方でした。続いてブクステフーデの前奏曲ト短調。これもフローベルガーのトッカータと似た急速調の走句から始まり、フーガ、走句が3回繰り返されて堂々たるフーガで終わる大規模なオルガン曲ですが、足鍵盤をほとんど使用しないのでチェンバロでも弾けなくはない。緩急の切り替えがいかにもコープマンらしい。最後にバッハのフランス組曲第5番。愛らしい、可愛らしい、そして最後のジーグは華やかな曲集です。情緒纏綿たるサラバンドから、妙に明るく可愛らしいガヴォットのあたり、コープマンの自在なテンポ感が素晴らしかった。アンコールはルイ・クープランのハ長調のパッサカリア。悠揚迫らぬ堂々としたパッサカリアのテーマから、時に可愛らしく、時に輝かしい変奏を紡ぎ出すルイ・クープランの作曲技法を正面から捉えて、どちらかというとしっとりと落ち着いた演奏を聞かせてくれました。


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昨日は20℃近くまで気温が上がって、まるで春の陽気でした。暦通りに季節が進んでいるようです。

春一番が吹くかもなんて予想もありましたが、昨日は快晴無風でした。今日は一転、天気はいいけど北風がちょっと冷たく感じられます。




クロッカス


白はそろそろ盛りを過ぎたようです。


少しずつ芝の緑が増えてきたような気がします。