ファジル・サイ ピアノリサイタル @所沢ミューズ ― 2023/01/28 20:54
今日(1月28日)は所沢でファジル・サイを聞いてきました。最近結構名前を聞くピアニスト。その名の通りトルコ生まれでデュッセルやベルリンの音大を出た人。ドイツ古典派からロマン派、果ては自作のピアノ曲まで膨大なレパートリーを持っているんだそうだ。共演者の中ではコパチンスカヤと長年素晴らしいデュオを組んでいるとか。
曲目はこんな感じ。前半のムーンライト・ソナタはなんともチグハグというのか、音色も指も探っている感じ。この人ホントは弾けないんじゃないかなんて、聞き手に不安を抱かせる出だし。2曲めのシューベルトの19番も似たりよったりかな。この日の体調がひょっとして最悪だったんじゃないか、なんて想像もめぐらしてしまいました。とにかくシューベルトの歌心が全然響いてこない。平板な音楽に終始。長調とも短調ともつかない儚い夢のような世界を感じられる瞬間は一時もありませんでした。
前半で帰ろうかなぁなんて思っていたんですが、初めての人なんでとりあえず最後まで聞いてみようかと思い直して後半も聞き続けました。いやあ、こういうことってアルんですねぇ。後半は全くの別人。ピアノも全く別の響きがしていました。ドビュッシーの透徹な響き、繊細な音色、和音の美しさ。そして何よりも音楽を推し進める駆動力、こういった諸々の点で全く別人のような音楽を聞かせてくれました。最後のラベルの『鏡』も、ドビュッシーよりも更に重層的で厚みがありながら、繊細で滴り落ちるレモンの汁のように新鮮な響き、これはただならぬピアニストだなと認識いたしました。アンコールは自作なのか即興なのか、ガーシュウィンのサマータイム。
おまけ
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