2/20 インバル指揮の都響でフランクの交響曲他2022/12/21 16:31

昨日(12月20日)は池袋の芸術劇場でインバル指揮の都響を聞いてきました。まずピアノのマルティン・ヘルムヒェンをソリストに迎えて、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番<<皇帝>>。寡聞にして名前は存じ上げませんでしたが、力強いピアニストでした。冒頭のアルペッジョから強烈な打鍵。でも音が濁らず心地よい粘り気があって美音。インバル指揮のオーケストラを向こうに回して、一歩も引かない丁々発止の果し合いを演じてくれました。いやあこういうソリストもいるんだなぁ。この人の一番最良の瞬間はもちろん第2楽章。ゆったりとした歌の時間が流れます。そしてファゴットが半音下がって第3楽章の調子を先取りして、ピアノが最初はゆっくりと2回、そして3回目にイン・テンポでロンド主題を提示するあたりのテンポ感は見事だったし、ピアノに寄り添うようにオケを付けていったインバルもお見事。

インバルという指揮者は実は譜面に忠実な指揮者だと思う。あまり凝ったことはせずに、譜面のありのままの音楽を鳴らして、そういう意味ではケレン味のない音楽。ですが、逆にハマった場合には、とてつもなく雄大な音の洪水を聞かせてくれる指揮者でもあります。先週のブルックナーの4番もそうでしたし、この日のフランクもそうでした。ゴージャスな音の饗宴を堪能させてくれました。最近フランクの交響曲はあまり演奏されていないような気もしますが、濃厚なフランス音楽のエッセンスとも言うべき、実に雄渾な作品。第1楽章の主題がゆっくりと提示され、そして弦のトレモロを伴って徐々にテンポを上げながら、主部に突き進むあたりはゾクゾクいたしました。そしてシンコペーション風のコラールのテーマが出てきてダイナミックに締めくくるところでは、都響の金管の合奏能力が遺憾なく発揮されていたと思います。第2楽章のイングリッシュホルンの長いソロも美しかったね。ハープの伴奏が入って天上の音楽。第3楽章の強音連打から主部に入る雄大なテーマの歌わせ方、第2楽章のイングリッシュホルンのテーマ、そして第1楽章の最初のテーマが次々と回想されていくたびにぐんぐん盛り上がって、興奮の頂点へと導く。インバルという指揮者のすばらしい一面を聞くことができた演奏会でした。

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