11/24二期会『天国と地獄』@日生劇場2022/11/25 11:51

昨日(11/24)は日生劇場で二期会の『天国と地獄』を見てきました。平日のマチネ、こんな時間にお客さんが来るのかなって、他人事ながら心配でしたが、1階は8割方埋まっていて、2階は1/3ぐらいかな。天井に2万枚のアコヤ貝を埋め込み、音響のためだそうだがガウディ建築のようにウネウネした曲線を強調した村野藤吾設計のホール。60年近く前、ベルリン・ドイツオペラで杮落し。若き日のマゼールやベームが振っていました。NHKが中継していましたが、他のチャンネルでもNHKから放映権を買って流していました。今はミュージカルばかりやっている小屋で、私自身は滅多に中に入ることはないんですが、でも来ると妙に落ち着く内装です。ちなみに12月は市村正親主演の『スクルージ(クリスマス・キャロル』が25日まで上演されるそうだ。前に来たときはミラノ・ピッコロ座の『コジ・ファン・トゥッテ』を見た記憶があります。もう20年以上前。光の魔術師と言われたジョルジョ・ストレーレルの遺作となった演出。

二期会の歌手たちは声はもちろんのこと、ずいぶん芝居もうまくなりました。この日も笑いの耐えない上演。スタッフ&キャストはこのあたり。まずもってユーリディスの冨平安希子安定感がすばらしい。かなり難しいコロラトゥーラも難なくこなしていました。また立ち姿も美しく、これならジュピターも惚れるなって感じ。オルフェの下村将太は美声を響かせていましたねぇ。倦怠期の旦那役をコミカルに演じていたと思います。第2幕、リヤカーに乗って登場し、いきなり祝詞(のりと)を上げるかのような発声で「地獄にやってきたぞ」と歌い出した瞬間、笑いが場内を包みました。ジュピターの杉浦隆大、プルートの高田正人も役になりきって、神々のいやらしさをとことん強調して、はっちゃけておりました。キューピッドの松原典子、そして「世論」の手嶋眞佐子もそれぞれ役柄になりきって好演。

原田慶太楼指揮の東フィルも、小さな編成で頑張ってました。ハエに変身したジュピターが「ズズズズー」と歌う場面では、指揮棒をハエたたきに持ち替えて笑いを誘っておりました。ちょっと頭の足りない門番とプルートの対話で、どうしても「ジュピター」という言葉が出てこないとき、オケはモーツァルトのシンフォニー41番(言わずとしれた「ジュピター」交響曲)をさり気なく演奏して、これも大喝采を浴びておりました。演出は鵜山仁。もと新国立劇場の演劇部門の責任者だったひとですが、このオペレッタに関しては大成功だったんじゃないでしょうか。

帰りに数寄屋橋を通りかかったら、年末ジャンボを買い求める長い行列ができていました。ここの売り場が当たり券がよく出るんだそうですが、やっぱり不景気って言葉が身に染みる今日このごろでございます。


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