桒形亜樹子チェンバロリサイタル20222022/04/09 15:27

昨日(8日)は代々木上原のムジカーサで桒形亜樹子のチェンバロを聞いてきました。題して『明日の記憶』。時間芸術としての音楽という概念がこのタイトルの伏線になっているのだそうだ。楽器は1769年製タスカンのコピー。柔らかで豊かな響きの楽器でした。

【曲目】
ジョン・ブル:イン・ノミネ(17世紀初頭)
リゲティ:ハンガリーのパッサカリア(1978}
渋谷由香:Found Impression (2022 世界初演)
フランソワ・クープラン:ティク・トク・ショック(1722)
ペッツィ・ジョラス:周りに(1972)
田中カレン:香草の庭(1986年)
カイヤ・サーリアホ:秘密の庭II (1984−86 日本初演)
北爪やよひ:ÉNEK XI+α〜何処へ〜(チェンバロ版初演)
バッハ:シンフォニア第5番変ホ長調
桒形亜樹子:3 stones 輝石(チェンバロ版初演)
ファン・バウティスタ・ホセ・カバニーリェス:第1旋法のガリャルダス

新旧取り混ぜたプログラムで、400年年間のチェンバロ音楽の古い部分と新しい部分に焦点をあてたと言えるでしょう。リゲティのパッサカリアは今となってはむしろ古典的な対位法に固執した「新しい古典」。その他世界初演やら、チェンバロ版初演やら、興味深い曲目が並びましたが、田中カレンの『香草の庭』は3つの魅力的な小品が並んだどこか懐かしい響き。カイヤ・サーリアホの『秘密の庭II』では電子的に処理されたテープ音楽と、実演中ににチェンバロの中に突っ込まれたマイクで増幅された音響とのインタラクティブな時間進行が興味深い音空間を創造していました。最後の部分で、トラックのアイドリング音のような低周波騒音とチェンバロの(おそらく)4フィート弦の単独使用による高音の反復音形が面白い効果を作り上げていたように思います。

桒形作の輝石はルビー、アメシスト、ブラック・スピネルという硬度の高い石3つをテーマに、石のエピソードや性質を音楽で表現したものらしい。3曲めのブラック・スピネルはなかなかの大作でした。

初演曲の作曲者も何人かいらっしゃって、大変華やかな音楽会でした。

浮見堂2022/04/09 17:21

奈良の写真はこれが最後







広重の堅田の落雁で有名な満月寺は浮御堂と書きます。