3/10 井上道義&読響+服部百音2022/02/11 11:28

昨日(2月10日)はサントリーで井上道義指揮の読響を聞いてきました。ヴァイグレの指揮で『エレクトラ』をやるはずだったのが、来日が間に合わず、結局井上の指揮で「特別演奏会」と銘打って1夜だけの演奏会をすることになったみたい。チケットも5000円均一と、かなりいい加減な売り方だ。最初に服部百音をソリストに迎えてショスタコーヴィチのコンチェルト。服部というと20日ほど前にN響でブルッフを弾いたんですが、どうもその感触がよくわからなかったので、せっかくのチャンスというわけで、読響でお口直し。第1楽章の悶々たるモノローグのような、「ブツブツ」呟くような、呻くような、なんとも鬱屈した部分を過ぎると、溌剌としたスケルツォ、堂々たるパッサカリア、そして第4楽章のブルレスケ、見事な演奏でございました。ブルッフを聞いたときにも感じた、テクニックの冴えはこの日も一段と磨きがかかっておりました。イマイチピンとこないパッサカリアですが、見通しよく弾き進め、長大なカデンツァからブルレスケにアタッカで入るあたりはゾクゾクしましたねぇ。そしてこの日のアンコールはまたまたエルンストの、『魔王』。ほんとに超絶技巧がお好きな方とお見受けいたしました。

後半はショスタコーヴィチの5番。井上ミッキーは長い間「日本ショスタコーヴィチ協会」なるものの会長さんをやっていた人(今でもやってるのかな?)。この協会を略して「ショスタコ協会」あるいは「タコ協」と呼び、ミッキーの指揮は「タコ踊り」と呼ばれています(大嘘かも)。

そしてミッキーはタコの5番に対する並々ならぬ思い入れと決意を文章にしています。題して「井上道義が語るショスタコーヴィチ5番」。意外にもかなりシンプルな捉え方をしています。というわけで、いきなりカルメンの主題(ミッキー曰く)で始まる第1楽章。如何にも見通しのいい音楽が流れていきます。第2楽章のスケルツォも、諧謔的というよりは予定調和的な、日本の芸人の喋りのように、毒にも薬にもならない平板な音楽。第3楽章はかなり密度の濃い音楽のはずですが、かなり薄口の歌いまわし。第4楽章のテンポに関しては「8小節目からのアッチェレランドは43小節まで」というのはかなり説得力がありました。それから324小節からのテンポはバーンスタインのような通常の倍速にするか、ムラヴィンスキーのようなテンポにするかってことだと思いますが、ムラヴィンスキーの解釈だったようです。全体的に見通しの良い音楽だったとは思いますが、なんだか物足りなさが残る演奏でございました。

夜7時からの演奏会でしたが、折からの「大雪注意報」のおかげで都心に向かう地下鉄はガラガラ。会社や役所が時間を繰り上げて帰宅を促したのか、9時に跳ねてから帰りの地下鉄もゆったり座れました。かなり稀有な経験。

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昨日は結局23ミリほど降りました。このところカラカラに乾いていたのでちょうどよいお湿りです。今日は朝から快晴で気温もグングン上がっています。



道路は完全に乾いていますが、屋上は流石に雪景色。






でもほんの僅かの積雪なので、ちょっと歩き回ると芝生の地肌が見えてきます。今日も炭粉を撒いておいたので、おそらく午後には溶けてなくなると思います。






パレード


イエロー・シンプリシティ