10/29,10/30 ビオンディ指揮のエウローパ・ガランテでヘンデルの『シッラ』 ― 2022/10/31 13:34
この秋のメイン・イヴェント。29(土)、30(日)は神奈川県立音楽堂でビオンディ指揮の『シッラ』を見てきました。あらすじ、スタッフ&キャスト、その他諸々はこのページ。
2年近く前、上演直前になってコロナの広がりのため突然中止になった公演のまさにリベンジでございます。ビオンディとエウローパ・ガランテの面々は世界中で公演しているようですが、どこも演奏会形式で、実際に衣装をつけて舞台の上で上演するのは横浜が最初ということになります。それで、結論から言うと、このオペラは演奏会形式ではおそらく、感動も半減だろうと思います。ストーリーは前2世紀共和制期ローマに実在した独裁者にして好きものキャラの人物。モーツァルトの『ルーチョ・シッラ』なんて作品にも取り上げられています。
あらすじを一読しても何が何して何とやら。ちんぷんかんぷんのハチャメチャなストーリーです。ただ、独裁者シッラにとっては女性はすべてが横恋慕の対象。恋人や旦那はひっ捕らえて牢獄にぶち込むか、野獣に食わせてしまう。そんな乱暴な人物が主人公の話でございます。ビオンディはカウンターテノールを好まないそうで、キャスティングとしては、ほぼ宝塚状態。神様役のバリトン以外はすべてが女声です。
シッラのソニア・ブリナは初日やや不安定でしたが、流石に2日目は聴き応えある歌を披露しました。シッラの奥方メテッラのスンヘ・イムも初日はやや精細を欠いたところも散見されましたが、リリカルな声で聴衆の喝采を浴びていました。騎士クラウディオとシッラの副官の娘の二人は背格好もさもありなんといったカップル。娘役の若々しさとクラウディオの凛々しさが音楽的にも見事な調和を聞かせてくれました。そして何と言っても護民官レピドとメテッラのカップル。これは聞かせてくれましたねぇ。開始から10分ほどの3曲めのアリアで、いきなりメリスマの限りを尽くした超絶技巧を聞かせてくれるんですが、ヴィヴィカ・ジュノーは最初からとんでもない安定感でございました。1日目と2日目で歌い方がかなり異なっている出演者もいて、ダ・カーポ・アリアのリピートの部分で2日目はそこまでやるかって感じの装飾を転がしてみたり、なかなか楽しい2日間でした。
全体的に歌舞伎風の衣装で、シッラは助六を彷彿とさせる鉢巻姿。女性役もきらびやかな振り袖を着て、華やかな舞台でございました。そしてバロック・オペラお決まりのエンディング、つまり機械じかけの神(deus ex machina)の降臨は、品のいいプロジェクションマッピングとシルク・ドゥ・ソレイユのエアリアルを使って舞台を豪勢に盛り上げておりました。ビオンディの音楽と、出演者の贅沢な声の饗宴、そして彌勒忠史の素晴らしい演出のアイディア、この三者が合体して華やかで豪華な舞台になりました。最後になりますがチェロ、ファゴット、チェンバロ、そしてリュートの通奏低音の面々もなかなかいい仕事をしていました。
ブカレストでやった演奏会形式の上演から
シッラのアリア「人間たちの優しい神よ」
レピドとフラヴィアの二重唱「私はあなたのためだけに」
フィナーレ
金曜日に聞いたブルネロの演奏会もNHKの収録が入っていましたが、横浜での2日間も狭い音楽堂に4台の4Kカメラが入って収録しておりました。そのうち放送されるかもしれません。
(追記:来年1月15日BSプレミアムシアターで放送予定だそうです。)
鳩ぽっぽ。何を思う。
かもめの水兵さん
横浜からうちまで一番早くて安い路線だと、40分で470円ほどなんですが、せっかくだから1泊していこうということで、ホテルニューグランドにお泊り。土曜にオペラが跳ねたあとは、やはりザ・カフェでお食事でございますなぁ。翌朝11時頃チェックアウトして目の前の山下公園をぶらぶら。
郵船の氷川丸
山下公園はちょうど秋の薔薇が見頃でした。
帰りはあまり通りたくない渋谷を通らなてはならなかったんですが、直通運転で乗り換える必要がないので、ゆったりと座って帰ってきました。
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