2/20 ヴァイグレ指揮の読響+チェロの上野通明2022/02/20 20:58

今日は池袋の芸術劇場でヴァイグレ指揮の読響を聞いてきました。まずは前座の一曲。ロルツィングの歌劇『密猟者』序曲。なんと言ったらいいのか、『軽騎兵』序曲とかそんな類の単純明快な楽しいオードブル。狩のホルン音形が出てきたり、猟銃の効果音が出てきたり、お気軽な一曲でした。

続いてチェロの上野通明のソロでドヴォルザークのチェロ協奏曲。上野は去年のジュネーヴ国際コンクールでルトスワフスキのコンチェルトを弾いて優勝した人。今日弾いたドヴォルザークのこの曲は通称ドヴォコンというやつですが、雄大な曲想のためか、よく演奏されるコンチェルトですね。この日の上野はよく通る音で堂々たる音楽をやっていました。第1楽章のボヘミアの哀愁を帯びたメロディーから始まって、第3楽章の情熱的なラストまで、息をつかせぬ名演。ヴァイグレも読響の能力を信じて、目一杯鳴らしてチェロに挑みかかるんですが、上野もさらりと受けてオケとともに燃え上がる。ドヴォルザークの美しいメロディーが次から次へと歌い継がれ、息も詰まりそうなほどのワクワク感が持続しました。いやあ、幸福な40分でした。

(ヴァイグレの上っぱりどうよ)

後半はシューマンの交響曲第3番『ライン』。読響がここまでの演奏をしたのは、40年ぶりとか、そんな名演でしたでしょうか。冒頭からヘミオラのような変拍子が入って、雄大な曲想を提示。ライン川の荒々しい流れを表してるんだそうだ。そしてスケルツォらしからぬ、朗々と歌う第2楽章。第3楽章の木管は美しかったねぇ。荘重な第4楽章に続いて第5楽章の爆発。金管の切れ味も素晴らしく、充実したシューマンでした。つくづくシューマンてのは歌の人だと思いますね。とにかく、全編通じて溢れ出るメロディーを書き留めるのがもどかしいといった感じがします。実際の作曲過程はどうか知りませんが、とにかく美しい歌の連続。ベートーヴェンが「ダダダ・ダーン」だけで1曲作ってしまうところを、これでもかってくらい惜しげもなく美しいメロディーを紡いていきます。どちらかというとシュマンはシューベルトの後継者ですね。ヴァイグレのかなり前のめりになった指揮ぶりも効果的だったと思います。弦も管も読響の持ち味を最大限まで発揮した演奏でした。


ヨーヨー・マのチェロ、ルイジ・ヴィエロフラーヴェク指揮のチェコフィルで、ドヴォルザークのチェロ協奏曲。

フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮のケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団で、シューマンの3番『ライン』。