6/26 アラン・ギルバート指揮の都響でバーンスタイン、コープランド、アイヴス2021/06/27 14:33

昨日6月26日は池袋でギルバート指揮の都響を聞いてきました。前半はまずバーンスタインのキャンディード序曲。破天荒な内容のミュージカルだったそうですが、この序曲だけが有名です。ド派手なヤンキー音楽の中でもとりわけ賑やかな一曲。心浮き立つ音楽。都響もギルバートの指揮によく応えていたと思います。

2曲目はコープランドのバレエ音楽『アパラチアの春』。アパラチアというと、遅れてやってきた白人たち、すなわちスコットランドやアイルランドからの移民が住み着いたところだ。アラバマからオハイオ、ニューヨークにかけて定住した彼らは、黒人奴隷制の時代には日雇い労働者や、農民の中でも最下層な刈分け小作として働き、資本主義が浸透してきた20世紀には五大湖周辺の、今で言ういわゆるラストベルト地帯に移住した者も多かったことだろう。つまり、トランプの出現を許したPoor Whiteの地域。何ともやるせない人々だ。そんな住人の身辺雑事を描いているといったらあまりにも凡庸に聞こえるが、彼らにとっては飛び切り特別な結婚のシーンを切り取ったバレエのようだ。彼らの信仰やらダンスやらが聞こえてくるんだけど、あまりにも陳腐、レトロの極み。コープランドが悪いんじゃないんだけど、そういった貧民層の日常埋没型の音楽を題材にすると、アメリカでは受けがいいのかな。

後半はアイヴスの交響曲第2番。まあ問題作と言われていますが、それほどのもんかなぁ。確かにマーラーとの共通点はあちこちに見られる。というか、マーラーよりもマーラーらしい。まず音楽に形式感がない。ほんの2・3小節の動機のようなものが、キャンバスに絵の具を投げつけたように出現し、展開されることなく時間が過ぎていく。どこかで耳にした動機が、その意味すら感じさせずに消えていく。かと思うとブラームス風の管弦楽法が顔をのぞかせる。が、これも突き詰めることなく流れていく。コラージュというよりはスキゾの極み。こういう音楽って面白いのかねぇ。都響の演奏が非常に良かっただけに、なんでこんな音楽をやるんだろうって、意味がまるでわからない音楽会でございました。