ヴァイグレ指揮読響+反田恭平でシューマンのコンチェルト@東京芸術劇場2021/06/20 19:27

今日(6月20日)は読響を聞いてきました。曲目はタンホイザー序曲、シューマンのピアノコンチェルト、チャイコフスキーの交響曲第5番。先日のN響は200人入っているかどうかって感じでしたが、今日の読響は満員札止め。久々に満席のホールの響きを実感しました。まずはタンホイザー序曲。ワーグナーがオペラのいいとこ取りで「序曲」を書いていた頃の作品ですが、ホルンのアンサンブルで巡礼の合唱に始まり、チェロが歌う悔恨の動機、やがて快楽の世界にどっぷりと浸かったヴェヌスベルクの音楽と続き、再び巡礼の音楽に戻って壮大な音楽が締めくくられるお馴染みの曲ですが、ピットから鳴り響く音楽とは異なり、舞台上で聞くと各パートが手にとるように俯瞰できてそれはそれで面白い一時でした。

そして反田恭平が登場。ステージまで距離があってロゴは読めませんでしたが、ピアノはどうやらファツィオリのようでした。第1楽章の入から確信に満ちた音楽。巨匠タイプとは違うんだが、「俺の音楽はこうなんだ」という確信と自信が漲った弾きっぷり。最初の1音でこの曲の演奏の良し悪しは決まってしまうんですが、これはちょっとすごい演奏でした。ヴァイグレの好サポートもあって、反田ワールド炸裂。オーボエのあのメロディーが心を打ちます。第2楽章は短いインテルメッツォですが、例えようなない美しさ。チェロのメロディーが入ってくるあたりは涙チョチョ切れ。スビトで第3楽章に入りますが、この主題の弾き方も曲全体のキーになる部分。巨匠タイプになるとちょっとトロい。シューマンの短い生涯の中では晩年の作品かもしれませんが、それでも青春の音楽だと思う。生き生きとし、しかも悠揚迫らぬテンポ感が素晴らしい。拍子の感覚がクラクラしてくる第2主題、そして堂々たる結末。すべて一級品の演奏でした。ファツィオリのピアノはスタインウェイほど下品でなく、ベーゼンドルファーほど奥ゆかしさに過ぎることもない。キラキラと輝き、スコーンとヌケの良い高音、豊かでマイルドな低音をもった極上品でございました。

反田君のアンコールはシューマン作曲リスト編曲の『献呈(君に捧ぐ)』(キーシン坊やの演奏です)。シューマンがクララに贈った一曲です。

(21日午前1時10分追記)
灯台下暗し。反田君の演奏がありました。

後半はチャイコフスキーの5番。前半のシューマンがあまりにも素晴らしくて、もうお腹いっぱいという感じがしましたが、まあ聞いてよかったかなって気がします。読響はやっぱりすごいねぇ。木管金管のアンサンブルもうまいし、弦の響きも一級品。満員のホールでこれだけ鳴らせる力量は並大抵ではない。これを聞いちゃうとN響がなぜお客さんが入らないのかよくわかったような感じがしました。


反田以前はこれがシューマンのコンチェルトの決定版でした。今日実に73年振りに、これを超える演奏に出会いました。

そしてこれはウルトラセブンの最終回のあの場面に使われたことでも有名です。

**********************
雨上がり。昨日は5.5ミリ、今日は夜中から今朝にかけて8.5ミリ降りました。本日の最高気温28.5℃。雨上がりで午後からはムッとする暑さ。




芳純




クリムゾン・グローリー


パパメイアン


雨で花びらが傷んでいますが、ヴィオリーナ。


ムーン・シャドウ


アンジェラ




フレグラント・アプリコット


イキシア




ストロベリー・アイス