昨日(11月22日)は築地の朝日ホールで久々にサバールを聴いてきました。(プログラムやチラシには「サヴァール」と表記していますが、いくら何でもスペイン人に「ヴ」はあるまいというわけで、「サバール」と表記します。まあ、これでもちょっと違うじゃないかというご意見もあろうかと思いますが…)
いつもこのホールに行くときは新富町で降りて、本願寺の前を通り、築地市場の前を通って行ったものですが、都営の大江戸線というのができたらしく(一体いつの話だよって言われそうですが)、それを初めて使って「築地市場前」という駅で初めて降りてみました。築地がどっかにいなくなってから初めて築地の駅に降りた次第。朝日新聞のホールですから、ロビーには夕刊の最終版が積み上げてあって、「ご自由にお持ちください」となっているのはいつもの様子。
久しぶりと言いますが、前回聴いたのは名古屋の方で万博があった年。万博の流れで東京でも演奏会があった次第。あの頃はまだ奥方のフィゲーラスが存命でしたし、娘のアリアンヌもいて、たまたま居合わせたのか(?)ベゴーニャ・オラビデまでステージに乗っていました。今回は5人組のオッサンバンド。これもホントに久しぶりにハープのアンドルー・ローレンス・キングがメンバーに入っていましたが、その容姿が何とも衝撃的。「僕の髪が、肩まで伸びて♫」なんて歌がありましたが、髪の毛が胸まで伸びて、かな〜り腹が出て、ホームレスのオッサンといった風貌でありました。まあ、以前からがっしりとした体型ではあったんですが…
それはそれとして、この日はフォリアとカナリオスというスペインを代表するダンス・ミュージックの数々を、賑やかにそしてもの悲しくやっつけようというプログラム。フォリアと言ってもあの有名なバッソ・オスティナートのメロディーが固定されるまでには長い道のりがあったみたい。3拍子1小節に1つの和声というバロックのフォリアに比べると初期のフォリアはかなり自由だったようだ。だからこそ黄金時代のスペイン音楽の根幹をなす即興と変奏が重要な意味を持つ。まあ、そんな観点から様々な変奏を即興を交えて披露するプログラムが続きました。
昨日のメンバーとは違いますが、まあこういった曲目がずらっと並んで、情念の炎を燃やし、また華やかに変奏を繰り広げる楽しい一夜でございました。いわゆるクラシックの楽譜に忠実な演奏とは全く異なり、自由で即興的な演奏がまさにオーセンティックだった時代を体現する演奏だったと思います。現代の音楽で言うと、ジャズのコンボなんかがちょっと近いのかな。
メンバー、曲目が載っている
一応コピーしておきます。
(メンバー)
ジョルディ・サヴァール(音楽監督、トレブル・ヴィオール、バス・ヴィオール)
ダビド・マヨラル(パーカッション)
ハビエル・プエルタス(ヴィオローネ)
アンドルー・ローレンス=キング(スペイン・バロック・ハープ)
ハビエル・ディアス=ラトーレ(テオルボ)
(プログラム)
・・・ カルロス5世時代 The Time of Carlos V
フォリア・アンティグア
ディエゴ・オルティス:ラ・スパーニャ
作曲者不詳(CMP 121):フォリア・アンティグア(即興)
作曲者不詳(CMP 12):フォリア・アンティグア「ロドリーゴ・マルティネス」(即興)
ジョスカン・デプレ/ルイス・デ・ナルバエス:千々の悲しみ「皇帝の歌」(ハープ)
ディエゴ・オルティス:フォリアIV-パッサメッツォ・モデルノⅢ
ルッジェーロ - ロマネスカⅦ - パッサメッツォ・モデルノⅡ
フランチェスコ・コルベッタ:前奏曲-カプリス・ド・シャコンヌ
スペインのフォリア(ギター)
ディエゴ・オルティス:パッサメッツォ・アンティコⅠ-サラバンダ Ⅴ
作曲者不詳:ティシュトラの伝統的なグアラーチャ(即興)
・・・ フェリペ2世時代 The Time of Felipe II
ペドロ・ゲレーロ:ダンサ・モリスカ
アントニオ・デ・カベソン:フォリア
パヴァーヌとそのグローサ
作曲者不詳(トルヒーリョ写本、ペルー):カチュア・セラニータ(即興)
サンチャゴ・デ・ムルシア:ファンダンゴ(ハープ)
作曲者不詳(と即興):フォリアに基づくディファレンシア
フランシスコ・コレア・デ・アラウホ:"Todo el mundo en general"に基づくグローサ
作曲者不詳:カナリオス(即興)
アントニオ・バレンテ:即興 ガリャルダ-ハラベ・ロコ(ハローチョ)
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最低気温は8.3℃まで下がりました。最高気温は16℃。快晴でポカポカした陽気。
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