ジャン=ギアン・ケラス&フレンズ トラキア・プロジェクト2018/09/24 15:23

池袋の仇を三鷹で討つ。ちょっと喩えが悪いかな。22日(土曜)の都響の演奏会が何かと不満が残るものだったので、昨日(23日)は三鷹まで出かけてケラスをもう一度聞いてきました。三鷹市芸術文化センター風のホールという所。存在は以前から知っていて、いい音楽会をやっているなとは思っていたんですが、如何せんうちから結構遠いし、チケットの受け取りや支払いが面倒くさい。ということでずっと敬遠していたんですが、今回は当日支払いでいいということで聞きに行ってきました。日曜の昼下がり、快速だか特快だかで、新宿から2つ目。うちを出てから40分ぐらいで三鷹に到着。南口はまるで土地勘がないんですが、道はわかりやすくて、途中でうまい蕎麦屋を見つけたりして、ちょっといい気分でホールに到達しました。築25年になるそうですが、なかなかシャレオツな建物。隣の小さいホールでは落語をやっていて、こちらは満席のようでした。風のホールは席数が600ちょっと。柔らかくて豊かな響きがする素敵なホールでした。残念ながらお客さんはキャパの半分ぐらいかな。

トラキア・プロジェクトという副題にさらに〜クラシックとギリシャ・ペルシャ伝統音楽の架け橋〜という添え書きがついていました。出演者はチェロのケラス。この人、生まれはカナダで教育はフランスで受けたそうだ。ケイヴァンとビヤンのシェミラーニ兄弟が打ち物。二人ともフランス生まれで、イランの打楽器ザルブとダフの名手。それにギリシャ出身のリラ演奏家ソークラテース・シノプロスが加わった4人組でのステージ。リラというとアポロンの竪琴が思い出されますが、そっちじゃなくてクレタ島に伝承されてきたという弓で弾く弦楽器のこと

トラキア・プロジェクトという副題の通り、主にギリシャ北部地域の伝承音楽に基づく音楽を中心にステージは進行。ちなみにトラキアってのは、バルカン半島のエーゲ海北部地域からブルガリアにかけての地域。現在ではギリシャ北部、ユーゴ解体後に出現したマケドニア、それにビザンツ(コンスタンティノープル、イスタンブール)、ブルガリアなんかが含まれるんでしょうか。ギリシャ神話では有名な音楽の神様オルフェウスの故地ということになっています。

ロス・ダリーのカルシラマは民族舞踏のリズムに乗った作品。どっぷりとギリシャ・トルコのフレーバーに包まれます。ソクラティス作曲の「ニハーヴェント・セーマイ」は短3度の音程が奇妙に鼻につく、じゃなくてオリエンタルな情緒を醸し出すリラとチェロの歌い交わしに打楽器が入ってきて、徐々に盛り上がっていく面白い曲。続いて土曜の演奏会でアンコールに弾いたデュティユーのストローフをケラスが独奏。ホールの響きの良さと相まって、チェロの技巧と音色を満喫しました。さらにシェミラーニ兄弟の打楽器の即興演奏。どの曲もそうなんですが、リズムのパターンが一筋縄では理解できないんですねぇ。首を振ってリズムを取ったりってことがまるでできない。9/8拍子だとか。10/8拍子だとか。4分音符で考えると、どこかに0.5拍が入り込んでくるような奇妙な感覚に陥ります。

ともかくこんな感じでワールドミュージック風のサウンドが心地よく流れていきます。後半はまず、ケラスの独奏でゾルタン・コダーイの有名な無伴奏チェロ・ソナタの第2楽章。コダーイの曲自体ハンガリーの伝承音楽を意識して作曲されているんだと思いますが、ワールドミュージックの観点からは、ギリシャ=トラキアの曲の中に入ってもまるで違和感がない。しかしまあ、ケラスはうまいですねぇ。手練手管の限りを尽くして作られているこの曲を実に明快に解きほぐして聴かせてくれました。後半はリラとチェロのメロディーの鳴き交わしのような曲も多くありましたが、3度や6度といった音程で奇妙に調和する瞬間があって面白かったですねぇ。擦弦楽器の歌とパーカッションの繊細なリズム感が実に楽しい演奏会でした。

この手のワールドミュージックの演奏会って以前はよくあったんですが、最近はご無沙汰ですねぇ。ピーター・バラカンなんかがよく出没していました。思うに親会社の主婦の友が傾いて、駿河台のカザルス・ホールも行き詰まり、よりによってあの日大に身売りして、その揚げ句に取り壊されて・・・あのあたりから日本の音楽シーンがずいぶん変わってきたように思う。それに加えて、千駄ヶ谷の津田ホールも閉じちゃったしなぁ。

トラキア・プロジェクトの演奏風景

リラのソークラテース・シノプーロスのジャムセッション



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昨日(23日)の最高気温29.9℃。ほぼ真夏日。かなり暑かったですねぇ。今日も28.8℃。

赤とんぼ、羽を取れば唐辛子。


またツマグロヒョウモンの雌がやってきました。

アンジェラ

ブルー・デイジーの花が増えてきました。

今日も曇りがち。時々薄日が差してくるような天気です。




ハツユキカズラ


ナデシコも花が増えてきました。

サハラ

つるバラは一足早く秋のシーズンに入ったみたい。

スペクトラ



ケンタッキー・ブルーグラスの新芽についた水滴。

三脚を使うと水玉の中に映り込んでいるものにぴったり焦点を合わせられるんですが、セッティングするのが面倒なんで、手持ちでいい加減にカシャカシャやってます。




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