セコンダ・プラティカ ノヴァ・ヨーロッパ 〜移りゆく世界のメロディ〜2018/07/15 20:12

11日に続いて昨日(14日)はセコンダ・プラティカの演奏を横浜まで聞きに行きました。みなとみらいの小ホール。いやあ酷暑の中横浜までの道中は凄まじいものでございました。山下公園で花火をやっていたらしく、特に音楽会が跳ねた後の8時半から9時頃の時間帯は、横浜中華街発の電車が浴衣を着た連中で超満員。そこにみなとみらいから見ていたのが押し寄せて、積み残しがでるほど。運行ダイヤもダダ遅れ。以前から横浜には良いイメージがまるでないんですが、今回もウンザリしました。

さてさて、「ノヴァ・ヨーロッパ」という副題ですが、「新世界 New World」とせずに「新しいヨーロッパ Nova Europe」としたのはなぜか。大航海時代といえばニュートラルに聞こえますが、実体は植民地争奪戦、植民地支配の時代。つまり中南米にもヨーロッパを作り出そうとした時代だったわけです。普段ブラジルの国歌なんてまず耳にすることはないですが、せっかくワールドカップの期間なのでちょいと。ブラジル国歌


ついでにウルグアイ国歌


まるでロッシーニやヴェルディのオペラから飛び出してきたような音楽ですね。こんな感じで、まあ一括りにするのは問題がありますけど、中南米の国歌ってオペラのワンシーンのように劇的に作られているのが多いように思います。そして最後には心が浮き立つような軽快な曲想で盛り上がるのが常。

さてこのような音楽が南米に根付く様子を4つのセクションに分けて演奏するというのが、「ノヴァ・ヨーロッパ」コンセプト。まず、ヨーロッパと新大陸の「距離」。同じ詩に付けられたスペインとクスコの音楽が比較対照されたりします。そして文化的な侵略と言いますか、キリスト教の「宣教」。カトリックの宣教に際して、ラテン語ではなく現地語のテキストが用いられた様子を音楽から聞き取ることができます。3番目が「融合」となっていましたが、これは卑近な例で言いますと、現代でもルイジアナなんかにいるクレオール人なんかが典型だと思いますが、現地人化した白人やその文化伝統、たとえばジャンバラヤみたいなのかな、そんな具合に南米にもたらされたヨーロッパ文化と現地の文化との複雑怪奇な混合状態、そして文化の多様性を聞かせてくれる音楽の実例が示されました。4つ目のセクションは「聖堂」。ヨーロッパの大聖堂の建築技術が南米に伝わり、教会の宗教儀礼や典礼音楽も南米に輸出されたんだが、ここで外観、あるいはスタイルが残り、内容が現地化されていく。その課程が理解できる音楽が紹介されました。たとえばイベリア半島で大流行したビリャンシーコ。現在では跡形も亡くなっていますが、南米では形式はそのままに、現地語のテクストが付いて伝承されているといった現象が見て取れます。色々議論はありますが、最近世界遺産だかに認定された、九州の隠れキリシタンの文化。有名な「オラショ節」なんてのも、このカテゴリーに入るのかな? 

さて、11日の演奏曲目に比べると、ぐっと現代に近い物(と言ってもまあ300年近く隔たっていますが)が取り上げられて、より感情が乗りやすい音楽だったので、かなり盛り上がりました。特にクレオールやらビリャンシーコやら、現地の言葉で歌われるヨーロッパ音楽は生き生きとしていました。第2セクション「宣教」ではコレッリのトリオソナタの楽章の合間に、カトリックの宣教師で作曲家だったドメニコ・ツィポーリの宗教曲が挟まれて、なかなか洒落た構成でした。またフローベルガーのファンタジアに続けて同時代のメキシコの聖歌を歌ったりと時代背景もよく考えられていました。またよく言われるラテン・リズム、ハバネラやボサ・ノヴァのような比較的ゆったりとした付点リズムが出てくる前の、より活発な3拍子、4拍子の生気溢れるテンポ感が心地よい高揚感を生んでていたと思います。さらに今で言う南米のフォルクローレっぽいルフランやコーラスも、なかなか楽しかった。

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はるばる横浜まで出かけた昨日は、最低気温28.3℃、最高気温38.6℃。ショパンの平熱を超えて猫の平熱でした。今日は最低気温28.1℃、最高気温36.8℃。いやあ、どこまで続くこの暑さ。「もうよい下がれ」と言いたくなります。





バラの季節が終わって、ちょっと地味な庭です。





ポリアンサのチャイナ・ドールが咲き始めました。

房咲きです。


夏の花壇ですねぇ。



今一番目立っているのがサルスベリ。


そろそろ1回目の満開を過ぎたところで、花が終わったところから摘んでいます。

ブルー・デイジー

ハツユキカズラ


マツムシソウ


芳純

パレード