桑形亜樹子チェンバロリサイタル クープランとバッハ2018/06/09 14:48

昨日(6月8日)は九段教会というところで桑形亜樹子のチェンバロを聞いてきました。これまでは確か対位法というテーマで、初期バロックの作曲家を中心に取り上げて何回も演奏会を開いてきたと思うんですが、今回は18世紀にどっぷりと浸かったフランソワ・クープラン(生誕350年)とバッハ(生誕333年)を取り上げたリサイタルです。しかもバッハはパルティータを全曲予定しているみたい。今回は1番から3番までを演奏しました。

九段教会ってのは初めて行きました。靖国神社の大鳥居の真ん前から右手にちょっと上がったあたりにあって、ざっと見て150人ぐらい収容できる天井が高いホールでした。これはさぞかし響きがいいに違いないって思ったんですが、さてさてどうでしょう? 前の方で聞いたので、全体的な響き方はどうなのかよくわからなかったんですが・・・

まずクープランのクラヴサン奏法からプレリュード第3番。チェンバロの演奏会では毎度のことなんですが、ホールで鳴っている音色や響きに自分の耳をチューニングするまでちょっと時間がかかります。しかも桒形所蔵のカッツマンのチェンバロは何度も聞いたことがある楽器なのに、弾き始めの音色がどうもイマイチしっくり耳に入ってこない。音楽自体はアウフタクトの上行音型ににトリルが付いてそれはまあ、典雅というか優雅というのか。次に第7オルドルを全曲。ここらへんからやっと楽器の響きに慣れてきました。重低音が効いたいかにもフランスのクラヴサン音楽。何を意味しているのかよくわからない「子供のころ」では多分4フィートが入って、ちょっとかわいらしく、そして華やかな音楽が聞こえてきます。子供時代からどんどん成長していくんでしょうか、「青春」「享楽」と進むにつれて煌びやかな雰囲気が増していきますが、そこに重低音の響きを懐かしむような気分が差し挟まれます。

続いてバッハのパルティータ第3番。組曲に定番のダンス曲の他に、いろんな踊りやら前奏曲やらがくっついているのが特徴の曲集ですが、3番はロコモティヴ風あるいは無窮動風の16分音符で押していくファンタジアで始まり、3声の対位法的なアルマンド、3拍子だけど付点リズムが人の歩みのように感じられるイタリア風の(?)コレンテ、3連符が特徴的なかわいらしいサラバンドの後に、3拍子のブルレスカ、2拍子のスケルツォが続きます。ファンタジアの推進力、アルマンドの優雅だけど緩まないテンポ感、コレンテのリズムのノリ、楽しい演奏でした。クープランと違ってバッハはどんなに「ふざけた」曲でも常に対位法を忘れられないんですねぇ。

後半はまずパルティータの1番。印象としては6曲の中では比較的こぢんまりとして、メロディーがきれいな曲が多いかな。プレリューディウムのメロディーはきれいに流れますすね。インヴェンションのような入りですが、そのうちターンついたメロディーが対位法的に各声部に現れ、「オレはそれほど単純なもんは書かないよ」ってバッハの宣言のようにも感じられます。アルマンド、そしてコレンテは1番でもイタリア風なんでしょうか。3連符と付点リズムとの絡みが面白い。桒形の演奏でこの2曲はきびきびと弾き進んでいくテンポ感が心地よい。明らかに初期バロックのアルマンドとは違うんだってところがよく現れていたと思います。サラバンドはちょっと重々しくなりがちですが、これも桒形は優雅でかわいらしく感じられるほど、品のいいテンポで弾いていました。そしてメヌエット。バッハが装飾法の一例のようにちょこっと細かい音符を書き込んでいますが、言ってみれば装飾し放題みたいな曲を、これも品良く、でも楽しさ一杯に聴かせてくれました。ジーグ、これはどう言ったらいいんでしょうねぇ。普通の意味での対位法的なジーグとは違って、分散和音の連続の中から、夢の中をたゆたうようなゆったりとしたメロディーが浮かび上がってくる。ちょっとリストを彷彿とさせるような曲です。ペダルがないチェンバロで演奏すれば、まあこうなるのが当然かもしれませんが、メロディーに相当する部分のアーディキュレーションが際だっていました。

最後に第2番。まず長大なシンフォニアから始まります。フランス風序曲と見せかけてからのアンダンテ。コンチェルトの緩徐楽章のように美しいメロディーが歌われますが、減七の和音で一旦停止。そこの緊張感を解放するかのような走句から、急速調への入り、なかなかみごとでした。3拍子のインヴェンションのような、あるいはフーゲッタのような部分は迫力たっぷり。同じリズムが繰り返されるたびにクレッシェンド、ディミヌエンドがよく効いていました。アルマンドはゆったりとした曲想というよりはかなりきびきび弾いていたでしょうか。続いてフランス風(?)のクーラント。2拍子と3拍子の間を行ったり来たりする不思議な酩酊感に浸ったあとは、チャーミングなサラバンド。これも決して間延びしないテンポ。続いてスタッカートが特徴的なロンド。主題が戻ってくるたびに鋭いアーティキュレーションが心地よく耳に突き刺さります。ジーグがなくて、最後はカプリッチョ。下降音階のあとに十度の跳躍が続く切れ味鋭いテーマと各声部が織りなす掛け合いが楽しいですねぇ。

最近バッハをあまり聴いていなかったんですが、夕べは堪能させてもらいました。それにしてもパルティータを一晩で3曲演奏するのは大変でしょうねぇ。でも最後まで最高の緊張感を持続して素晴らしい演奏だったと思います。


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今日は午前10時前に30℃を超えました。夕べもムシムシしてにわか雨が降ったりしたんですが、今日もその湿気を引きずっているみたいで、蒸し暑いことこの上ない。午後からはちょっと雲が出てきましたが、今のところ最高気温33.6℃。多分今年一番の暑さだと思います。


タンタウの名花ドゥフトヴォルケ。神社の鳥居みたいなどぎつい朱色ですが、ちょっとフルーティーで爽やかな香りがします。かつて資生堂の香水に使われたバラ。今でも石けんの香りがこれかもしれません。



ユリの花が残り少なくなってきました。



バラの2番花が咲いています。


パパメイアン


ラ・フランス。国の名前がついちゃったバラ。日本に入ってきた当時は「天地開」と呼ばれて、西郷さんも欲しがったそうですが、大枚を積んでも売ってもらえなかったとか。

アールグレイのミルクティーの香りがするレディ・ヒリンドン。

ポール・マッカートニーに捧げられた、ザ・マッカートニー・ローズ。

一本の枝に花一つ。礼儀正しいヴィオリーナ。

マダム・アルフレッド・カリエール


昨日芝を刈ったばかりなんで、まあまあきれいに見えます。



ストケシア


マツムシソウ

バラには青い花がないんで、花壇の中でこの色合いは貴重です。

残り少なくなったトリテレイア。


サルスベリのつぼみ。例年だと7月1日が開花日なんですが、この様子だと今月の半ばには咲き出しそうです。

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