ジャン=ギアン・ケラス 無伴奏チェロ・リサイタル2016/06/20 15:14

昨日(19日)は所沢まで出かけてケラスが弾くバッハの無伴奏を4曲聞いてきました(@所沢ミューズの中ホール)。前半が1番と4番、後半が3番と5番。弾き始めたとたんにケラスの世界。倍音がたっぷりと響く低音、艶やかで輝かしい中音域。まず音の美しさ、響きの豊かさが図抜けています。かつてヨーヨーマがチェロの世界のトップに君臨していた頃は、ここまで弾ける人はもう出てこないんじゃないかと思われましたが、最近はチェロの名人がどんどん現れてきますね。中でもフランスのオフェリー・ガイヤールとか、オランダのウィスペルウェイとか、ホントにうまい。で、このジャン=ギアン・ケラスって人も、前の2人にましてうまい。聞き慣れた1番のプレリュードが今生まれたばかりのように新鮮に聞こえてきます。フレーズの作り方、アクセントの置き方等々、長い間に耳に馴染んできた音楽とは違う、一から洗い直して、音一つ一つの意味を問い直した演奏。一つの音をフレーズの最後に含めるのか、新たなフレーズの頭に持ってくるのか、そんなことをちょっといじると、手垢の付いたバッハがまったく新しい音楽となって現れてきます。大家・巨匠の堂々とした味わいとは違うけど、等身大で気さくに語りかけてくるようなバッハ。16分音符の羅列が一瞬とぎれて、ため息のような走狗をソット・ヴォーチェでサラッと弾いてみたりと、今に生きるバッハといった趣です。

後半になると、演奏に一層自由な闊達な色合いが加わります。3番のプレリュードに続いてアルマンドの明るい響き。そしてクーラントのリズムの変化。ちょっとしたフレージングとアクセントの工夫で、2拍子と3拍子を行ったり来たりする面白さが倍増します。そして軽快なブーレ、慌てず騒がず、でも躍動感たっぷりのジーグ。

最後に持ってきた5番も見事。短調の曲でしかも弦楽器としては鳴りにくいフラット3つ。でもそれを逆手にとって、ぼそっと語るような音楽をやっていました。無伴奏の中では5番のサラバンドはすごく音が少ない曲じゃないかと思うんですが、とつとつと語る単旋律の背後にハーモニーの連結を感じさせるような音楽でした。手垢にまみれた音楽でも、一度洗い直してみると、見違えるように豊かな内容を持って現れてくるんですねぇ。

アンコールはお友達3人が加わって、中東の響き。ケイヴァン・シェミラーニとビヤン・シェミラーニの兄弟はイランの打楽器奏者。北アフリカやトルコのダラブッカに似たトンバクという太鼓、それからダフという平太鼓を駆使して多彩な音色を披露してくれました。そこにソクラティス・シノプロスという弦楽器奏者が加わって、明るい中東の響きを奏でてくれました。この弦楽器はリラと言っていましたが、指ではじくハープではなくて、中世ヨーロッパのビウエラに似た、クレタ・リラとかポントス・リラとかいう弓で擦る小さな楽器。レコード業界筋ではワールド・ミュージックというカテゴリーに入るんでしょうが、バッハのあとの爽やかなデザートといったところでしょうか。




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昨日はちょっと気温が下がりましたが、今日はまた30℃超え。夏が近づいてきています。

ドゥフトヴォルケ



草月流コーナー


暑い!



チャイナ・ドール(上)とヴィオリーナ

アリスター・ステラ・グレイ(白)とザ・マッカートニー・ローズ



花数が多いですねぇ。

アリスター・ステラ・グレイ

芳純



レディ・ヒリンドンも咲き始めました。

ラ・フランス


パパメイアン



プランセス・ド・モナコ